14-温もりを忘れる ページ15
.
「めっちゃ子供みたいなこと言っちゃった……」
空いてる教室に入り込み、壁に背を預けて天井を仰いだ。
先生のバカ!なんて、今時小学生でも言わないでしょ……。と、自己嫌悪に浸る。
五条先生は追いかけてはこなかった。
先生が走れば、私なんてすぐに捕まるはずだから。
呆れられちゃったかな……。
でも、先生だって悪いよ。
例え記憶無くしてもまた僕のこと好きになるんじゃない?なんて。考えないようにしていた、のに。
「いやいや、好きになんてなんないし……!」
私は悠仁のこと好きになるし、絶対、……多分。
五条先生のことは好きになんてならない、なりたくない。これ以上あの人を困らせる存在にはなりたくないから。
そうして何となく五条先生と顔を合わせるのが気まずいなと思っていたら、次の日から五条先生が出張に行くと聞いた。
もちろん、一晩経てば私の中から先生の記憶は欠けてしまうわけで。
普通に授業を受けて、任務を受けて、同級生や後輩達と楽しく過ごす、という比較的穏やかな日常を送った。
ただ、話題の中で時々出てくる「五条先生」「悟」は誰のことか分からなかった。
一週間後のことだった。
一年生の教室が何やらわいわいと騒がしかった。扉の隙間からそっと中を覗き込んでみると、一年生だけじゃなく私の同級生達もいた。
皆で教卓を囲んで楽しそうにしている。
生徒だけなら私もすぐに輪に混ざったけれど、教卓の前には長身の目隠しをした男の人がいたから、少し躊躇した。
どうしようかと佇んでいると、私がいることに気づいた野薔薇が近寄ってきて「Aさんも来てくださいよ!五条が珍しくお土産買ってきたのよ」と私の腕を引いてあっという間に輪の中へ連れられた。
……目隠し、してるけど見えてるんだよね?
じっと見つめられてるような気がして、気まずさを感じつつ、ぺこりと会釈する。
「……A、」
男の人は私の前までやってくる。
何で名前知ってるんだ、と心の中でツッコミし、一歩後ずさる。
下がった分をまた詰められて、手が伸びてくる。
ぽん、と頭に彼の手が触れた瞬間。
ゾワゾワッと背中に悪寒が走った。
____知らない男に触れられている。
「っやめてください!」
男の手をパシッと容赦無く振り払う。
しんと教室が静まり返った。
.
920人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱぅち(プロフ) - レモン茶さん» こちらこそいつもあたたかいコメントありがとうございました!😭 レモン茶さんからコメント頂ける度に嬉しかったです!!これからも頑張ります!!💪 (2021年10月25日 22時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
レモン茶(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後まで本当に素敵なお話でした!また次回作があればまた読みたいです!ぱうちさん本当にお疲れ様でした! (2021年10月21日 20時) (レス) @page34 id: 7311114e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - さざんかさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭 こちらこそ素敵なコメント頂けて本当に嬉しいです!私にとっても忘れられないお話しになりました✨ (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ナハマヤラさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭更新が遅すぎた中でも最後までお付き合い頂いた読者様には本当に感謝でいっぱいです…!これからも頑張ります!💪 (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 白米さん» 白米さん!こちらこそ最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!!😭 甘くない話を書いていると、読者様に楽しんでもらえてるかな…と不安になるのですが、そんな中でも白米さんにあたたかいコメントを頂けて安心してました笑ありがとうございました! (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年5月30日 21時