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01-好きな人 ページ2

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学校の先生に告白をした。
こんなにも想いを抑えられない恋は初めてだった。

私と先生以外は誰もいない、夕焼けの紅に染まった教室で。


必死だった。
とにかく好きだって気持ちを伝えたくて、必死で。

口だけがよく動いて、具体的に何を言ったのかはまともに覚えていない。


ただただ「五条先生が好き」と馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返した気がする。

そして少しの沈黙の後、先生は答えた。



「生徒だからダメ」と。



普段から常識が欠如している先生にそんな倫理観あったんだとまず最初に驚いて、それからようやく失恋の痛みを実感した。


生徒だから。
未成年だから。

振られることは覚悟していたけど、そんな普通の理由で断られるとは思ってなくて、逆にショックが大きい。だってあの五条先生が、そんな普通の理由で。




失恋した。
ショックも受けた。落ち込んだ。

でも、ど〜うしても諦めることはできなくて。


その後も何度か告白した。
その度に「生徒とはそういう関係にならないよ」とバッサリ振られた。

普段はテキトーなくせに、こういう時ばかり真剣な顔をして答えてくれるものだから、こっちは何も言い返せない。



子供だから、生徒だから、先生は毎回真摯に告白を断ってくれた。

けど本当は心の底から面倒だったのかもしれない。

だって、ある日言われてしまったのだ。





「一晩寝たら忘れちゃえばいいのにね。僕のことが好きなんて、そんな感情」





首後ろをかく何気ない所作の中でぽつりと呟いた言葉が、心臓の奥深くを容赦無く刺した。

ああ、そっか、
私の気持ちは、恋心は、
先生にとってそんなに迷惑なものだったんだ。


忘れたい、こんな気持ち。

忘れてしまいたい、だって、先生が好きだから。

先生に迷惑はかけたくない。









後で思えば

きっとこれが、前兆だった。






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02-声を忘れる→←00.



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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:恋愛
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ぱぅち(プロフ) - レモン茶さん» こちらこそいつもあたたかいコメントありがとうございました!😭 レモン茶さんからコメント頂ける度に嬉しかったです!!これからも頑張ります!!💪 (2021年10月25日 22時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
レモン茶(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後まで本当に素敵なお話でした!また次回作があればまた読みたいです!ぱうちさん本当にお疲れ様でした! (2021年10月21日 20時) (レス) @page34 id: 7311114e12 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - さざんかさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭 こちらこそ素敵なコメント頂けて本当に嬉しいです!私にとっても忘れられないお話しになりました✨ (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - ナハマヤラさん» 最後までお読みくださりありがとうございました!😭更新が遅すぎた中でも最後までお付き合い頂いた読者様には本当に感謝でいっぱいです…!これからも頑張ります!💪 (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 白米さん» 白米さん!こちらこそ最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!!😭 甘くない話を書いていると、読者様に楽しんでもらえてるかな…と不安になるのですが、そんな中でも白米さんにあたたかいコメントを頂けて安心してました笑ありがとうございました! (2021年10月21日 17時) (レス) id: 50c1a80a5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぅち | 作成日時:2021年5月30日 21時

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