09-砕ける心 ページ9
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呼吸の仕方が分からなくて息苦しくなって、繋がった手に力が入ってしまう。それが手を握り返したみたいになって、「もっと」と求めてしまっているみたいで。雨も伏黒くんも止まってくれる気配は無い。
触れ合うことの気持ち良さよりも、息苦しさが何よりも勝っていて、どうやってこの状況に終止符を打つかに頭をフル回転させる。
胸を押し返そうとするのは失敗した、
後頭部に手が回っているから顔を逸らすのも無理、
じゃあ、……。
良心が痛むので今まで躊躇していたが、背に腹はかえられない。
ガリッと伏黒くんの唇を噛む。
「ッ…」急な痛みに顔を顰めた伏黒くんは、ようやく解放してくれた。その拍子に後頭部を固定していた手も、繋いでいた手も離れた。
私は思い切り体に酸素を取り組む。
大袈裟なくらい肩を揺らして息をした。
彼はヒリヒリと痛むであろう唇に手を当てながら言った。
「何すんだよ」
「息できなくて苦しかったんだもん」
「鼻で息しろよ」
「そんなことすんなりとできるほど慣れてないし」
「なら慣れてもらうしかねぇな」
そう言って肩に置かれた手。
また伏黒くんの顔が近づいてくる。
今度は後頭部に手を回されているわけじゃないから、顔を逸らそうと思えばいくらでもできるのに。
いつもよりも欲に濡れた瞳に囚われて身動きが取れない。
思わずギュッと目を瞑る。覚悟なんて微塵も出来ていないけど、流れに身を任せようと思ってしまった。
しかし数秒待っても何も起こらなくて。
肩に置かれていた手さえなくなったから、何事だろうと目を開ける。
すると、伏黒くんはまた唇に手を当てて何だか苦い顔をしていた。
「……痛い、」
どうやら思っていた以上に強く噛んでしまったらしい。
うっ。
そんな姿を見せられると罪悪感が募る。
「ご、ごめんね？」
謝罪しても伏黒くんは何も反応せず、フイッと顔を逸らす。
え、なんか不機嫌……？
不穏なオーラを感じつつ、「伏黒くん？」と優しく声を掛けてみる。
「…………んな強く噛むほど嫌だったのかよ、キス」
雨に紛れるくらいの小さな声で何かを言ったから聞き取れなくて、「え、なに？」と聞き返してみても、伏黒くんは答えてくれなかった。
少し経って傘を持った虎杖くんが迎えに来てくれたから、伏黒くんとの2人きりの時間は終わった。
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しろりん(プロフ) - 私もこのお話大好きで、何度も読み返してるんですが…ちょこっとだけ、おまけ程度に夢主ちゃんが恵くんの事を『伏黒くん』じゃなくて名前で呼んでるお話読みたいです…２年前に完結してますけど…気が向いたらでいいので…。😳 (2023年4月25日 17時) (
レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - とても楽しく読ませて頂きました！これからも応援しています。 (2021年2月26日 18時) (レス) id: 0a7371db4e (このIDを非表示/違反報告)
夜空の星 - 最高でした！新作も楽しんで読ませてもらってます！ (2021年2月21日 0時) (レス) id: ab019124cf (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - かえさん» 暖かすぎるコメント頂けて嬉しいです〜！（ ; ; ）シリーズ化は考えていませんでしたが、書くの楽しそうですね！もしネタが浮かんだら書いてみようと思います！素敵なご意見ありがとうございます(^^) それと最後までお読みくださりありがとうございました！ (2021年2月18日 20時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 本当に面白かったです！！毎日更新されるの今か今かと楽しみにしてました（笑）ぜひぜひ彼氏面してくるをシリーズ化して欲しいです、、！五条先生や他の人もみてみたい、、！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: 26e6a6e1c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2021年2月11日 14時
