08-雨、触れる熱 ページ8
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「ちょっ……待、て、伏黒くん……！」
「やだ」
「っ……」
繰り返される短いキスについていくのが精一杯で、鼻で呼吸をすればいいことなんて考えつく余裕もなく、常に酸欠状態。
止む気配のない雨音が、遠のいていく。
何の疑いもなく人気のない公園のベンチに座ってしまった事を今更後悔する。
押し返そうと伏黒くんの胸元に震える手を伸ばすけど、何を勘違いしたのかその手は呆気なく取られて指を絡められた。
手を繋いだまま、何度も何度も唇に暖かな体温が触れる。
どうしてこんなことになったのか。
事の発端は些細な事だった。
急遽1、2年生でたこ焼きパーティーをしようという話になったのだ。しかし急に決まった為、材料なんて揃っているはずもなく。
買い出しを率先して引き受ける勇者など私も含めておらず、渋々ジャンケンで負けた2人が行くことになった。それで負けたのが私と伏黒くんだった。
買い出し自体はスムーズに終わった。そして雲行きが怪しくなってきたなーと思いつつ帰り路を歩いてると、案の定雨が降ってきた。寮まではちょっと距離がある為、本降りの中進んでいくのは大分厳しい。
そこで近くの公園の屋根付きのベンチで雨宿りをすることにしたのだ。今日中は降り続くだろうから、野薔薇に「傘持ってきて」と連絡をした。秒で返信が来て読んでみれば内容は「虎杖に行かせる」だった。野薔薇強し。
そんなこんなでベンチに座って助けを待つことになったのだが。
「五条先生なら途中で雨に降られて困ることもないんだろうなー」
「たく、誰だよたこ焼きパーティーしたいとか言い出したの」
「虎杖くんだね」
「言い出しっぺが買い出し行けよ」
「まあまあ、傘持ってきてくれるみたいだし。……あ、私ハンカチ持ってるよ。使う？」
「ハンカチじゃ無理だろ。せめてタオルとか」
「何もないよりはマシでしょ」
ハンカチで隣に座る彼の頭をぽんぽん叩く。
息を呑むような音が聞こえた。
そしてハンカチを伏黒くんの頬に当てた時____。
後頭部に手が回って勢いよく引き寄せられて。
手からひらりとハンカチが舞う。
「A……」
伏黒くんのスイッチが入るタイミングはよくわからない。
熱っぽい瞳に見つめられたかと思えば、次の瞬間には距離がゼロになっていた。
こうして冒頭に至る。
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しろりん(プロフ) - 私もこのお話大好きで、何度も読み返してるんですが…ちょこっとだけ、おまけ程度に夢主ちゃんが恵くんの事を『伏黒くん』じゃなくて名前で呼んでるお話読みたいです…２年前に完結してますけど…気が向いたらでいいので…。😳 (2023年4月25日 17時) (
レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
ささき(プロフ) - とても楽しく読ませて頂きました！これからも応援しています。 (2021年2月26日 18時) (レス) id: 0a7371db4e (このIDを非表示/違反報告)
夜空の星 - 最高でした！新作も楽しんで読ませてもらってます！ (2021年2月21日 0時) (レス) id: ab019124cf (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - かえさん» 暖かすぎるコメント頂けて嬉しいです〜！（ ; ; ）シリーズ化は考えていませんでしたが、書くの楽しそうですね！もしネタが浮かんだら書いてみようと思います！素敵なご意見ありがとうございます(^^) それと最後までお読みくださりありがとうございました！ (2021年2月18日 20時) (レス) id: 4a1d1da0e2 (このIDを非表示/違反報告)
かえ(プロフ) - 本当に面白かったです！！毎日更新されるの今か今かと楽しみにしてました（笑）ぜひぜひ彼氏面してくるをシリーズ化して欲しいです、、！五条先生や他の人もみてみたい、、！ (2021年2月18日 0時) (レス) id: 26e6a6e1c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2021年2月11日 14時
