09-煽ったのは君だぜ ページ9
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サンジ
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「参ったな……」
1人になった空間で前髪をくしゃりと握る。
昨日の今日で信じられないことばかり続いている。Aちゃんに口説かれたりヤキモチ焼かれたり抱き締められたり……。いつ理性が負けてもおかしくない状況だ。
普段のAちゃんはおれみたいなノリで近づいてくる奴には「はいはい」と軽くあしらうような、男に媚びることを知らない冷静な子だ。
それが、そんな子が、『何されても構わない』だなんて。
思い出しただけで体温が上昇する。だっておれは、彼女があんなに熱っぽい瞳で誰かを見つめることができるなんて知らなかった。知ってしまったら、その瞳をおれ以外の誰にも向けて欲しくないという独占欲が生まれる。
おれは特別な1人なんて、作るつもりないのに。
夜中、明日の朝食の仕込みが思ったより早く終わった為、たまにはゆっくり酒でも飲むかとアクアリウムバーに行った。そこでおれはまたAちゃんに思考を独占されることになる。
何故なら彼女が、アクアリウムバーの長い椅子に横になって眠っていたからだ。彼女の頭の先には本が置いてあるから、読書していたら眠くなってしまったのだろう。
これは、……起こしてあげた方がいいよな。
彼女の肩に伸びた手が、一瞬躊躇する。いやいや、何を戸惑ってるんだおれは。これは義務だ、と自分に言い聞かせて「起きな」と優しく肩を叩く。
Aちゃんは一度短く唸って、でもすぐにまた夢の中へ落ちてしまう。彼女に触れる手が照れて、あまり強くは叩けない。
「Aちゃん、起きて。部屋に……」
「んぅ……？」
肩を叩いていた手がキュッと包まれる。
Aちゃんは目を覚ましていない。
無意識らしかった。
柔らかくて、小さな手。
抱き締められた時の感覚が蘇って鼓動が暴れ出す。
何されても構わないよ、と呪いのように魅力的な誘い文句が頭の中でこだまする。
Aちゃん、煽ったのは君だぜ。
手を握り返し、腰を徐々に曲げる。
何も考えられなくて、ただ引き寄せられるように彼女に顔を近づけた。そして、眠り姫にキスを落とす。
柔らかくて、温かくて、気持ち良い。
癖になりそうなこの感覚から、名残惜しげに離れる。
そしてすぐに後悔。その場にしゃがみ込む。
「……やっちまった、……」
せめて彼女が起きてる時は我慢しようと、固く決意をした。
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白米(プロフ) - 今更ですみません！この作品も大好きなんです！！！ワンピースだとサンジとローが好きで…あれ？もしや好みが一緒…？とか思いながら見てます…笑 この作品何度も読み返す程大好きです！！！凄い今更ですみません笑 (2021年11月6日 4時) (
レス) id: 28dea4d994 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 藍さん» 最後までお読みくださりありがとうございます…！次作はまだ構想中ですが、恐らくローさんかなあと考えております！あくまで予定ですが、、笑 コメントありがとうございました（ ; ; ） (2020年8月12日 15時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 完結おめでとうございます。次回作はありますか？あるのであれば楽しみにしてます！！ (2020年8月10日 21時) (レス) id: cb413fc80a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2020年8月7日 19時
