08-面倒見の良い船長 ページ8
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「ベポ、今日は浮上しろ」
「アイアイ！」
指示を受けたベポは操縦室に走って行った。
一晩経って流石に嵐は抜けただろう。
人間の性か、陽の光を浴びたいと思うのは自然。
だから必要以上に潜水はし続けない。
浮上するとなると潜水艦はかなり揺れる。
自室に戻ってベットにでも寝ているのが安全だ。
部屋に戻れば、ベポの声で『これから浮上しまーす』と放送が流れる。何とも間の抜けた、緊張感の無い言い方。
ベットに転がり、目を瞑る。
もう一眠りするかとうとうとしていると。
このタイミングでノックする音が聞こえた。
は？誰だ、放送聞いてなかったのか。
ガバッとベットから上半身を起こす。
「トラファルガーさん、あのちょっと確認したいことが……」
扉の向こうからAの声がした。
……ッあの女、放送の意味が分からなかったのか。
いや、説明してなかったおれらも悪いのか。
少しずつ船が傾いていく感覚がする。
もうすぐ、揺れる。
「馬鹿が！部屋に戻れ」
「え？どういう……」
「……チッ」
いつまでもそこに居る奴があるか。
まだ間に合うなと扉を開け、ぽかんとした様子のAの手を引いて部屋に入り、二人でベットに倒れ込む。
間一髪だった。
その直後から潜水艦が激しく揺れ出した。
これで廊下に居続けていたらどうなっていたか。
「と、トラファルガーさ……」
「潜水する時と浮上する時は部屋にいろ。じゃないと危ない」
「さ、さっきの放送ってそういう意味だったんですね」
すみません理解不足で、と珍しくしゅんとして謝る。こいつにも反省する心はあったらしい。
「まァ説明しなかったおれらにも非はある。次から気をつけろ」
「……はい！次は自室にこもってます」
返事は、返事だけは毎回良いんだよな。
…
会話が途切れ、徐々に今の状況を把握する。
勢いで連れてきてしまったが、これはマズイか。
2人してベットの上に横たわって。
Aの息の音さえ鮮明に聞こえる。
至近距離で、見つめあって。
柄にもなく速まる鼓動。
「あ、そういえば物置で余ってるツナギ見つけたんですけど、使っても良いですか？」
「……勝手にしろ」
「ありがとうございます！」
何が気に食わないって、
こいつが何も意識せずにあっけらかんとしていること。
無性に腹が立ち、その気持ちを押し殺すように寝返りを打って背を向けた。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
