07-見惚れる ページ7
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光の無い夜空のようだった紺色の瞳に、一番星が浮かぶ。
迷いの無い真っ直ぐな目に見つめられて、身動きが取れなくなった。
呼吸をすることも忘れて、ただひたすらに。
これが世に言う“見惚れる”という状態だったことに、この時のおれは気がつかなかった。
おれはこいつが怯える瞬間を見たくて、そしてそれが見れて、確かに満足したはず、なのに。
矛盾した気持ちが生まれる。
この目を、もっと見ていたいと思った。
この、例え曇っても必ず晴れる目を。
「トラファルガーさん？」
名前を呼ばれて我に帰る。
おれは何を、何を考えていた？
むしゃくしゃして舌打ちをする。
「もう部屋に帰れ」
「あ、でも私まだ部屋が……」
そういえばまだ案内してなかったか。
流石に居候とはいえ野朗どもと同じ部屋を使わせるわけにはいかない。しかし空いてる部屋なんかあったか、……記憶を辿り、ああそういえばと思い出す。
「付いて来い」と彼女を先導する。
空いてる部屋があるのは奥の方だ。
「ここだ」
「わ、ありがとうございます……！」
「使ってねェから埃まみれだがな。嫌だったら自分でなんとかしろ」
「はい！掃除は得意なので」
嫌味のつもりだったが、Aには通じなかった。
ここまで返事がいいともういっそ清々しい。
説明しないといけないことがもう一つ。
隣の部屋を親指で指す。
「隣はおれの部屋だ」
「そうなんですか」
「だから煩くすんなよ」
「はは、部屋に一人で煩くしませんよー」
「どうだか」
疑い深いおれにAは一笑いし、掃除をするためか早速腕まくりをしながら言った。
「御部屋まで貸して頂いてありがとうございます」
「いちいち礼なんかするな面倒くせェ」
「ふふ、じゃあトラファルガーさん、おやすみなさい」
おれが部屋に入るのをAは見届けて、その後に隣から扉が閉まる音がした。
なんなんだ、アイツは。
芯が強いというか、肝が座っているというか。
ただの能天気な阿呆かと思えば、少しは教養があって、人を冷静に分析できるくらいの観察眼があって。
ただの一般人ってわけではなさそうだ。
じゃあ一体……？
喋るのも嫌だというのに、その気持ちに反して考えるのはAのことばかり。
謎だらけな彼女に、知らず知らずのうちに興味を持ち始めていた。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
