06-脅し ページ6
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「何故笑ってる」
おれはこの笑顔が気に食わないってのに。
Aは手を後ろで組んで顔を覗き込んでくる。
「もしかしてトラファルガーさんって、弟か妹がいますか？」
突拍子の無い質問に小さく目を見開く。
頭を過ぎったのはラミのこと。
明るくて、元気で、よく笑う、
アイスクリームが大好きだった妹。
10年も生きられなかった妹。
おれが動揺したのを見逃さなかったらしく、「当たり、ですか？」と嬉しそうに少し声を弾ませて言った。
「余計な詮索はするな」
必要以上の干渉はしない。
だから、境界線を引く。
これ以上は進んでくるなと。
なのにAは、軽々しく飛び越えてくる。
「トラファルガーさんって面倒見良いなって思ったんですよ。さっきの『散らかした奴が片付ける』って言葉とか、なんだかんだで私をこの船に乗せてくれてるところとか」
おれの言葉を無視して、Aは知ったような口調で語っていく。
なにが面倒見が良いだ。
おれは10年もラミの兄として生きられなかった。
お前が、おれの何を知ってる。
嗚呼、苛々する。
クルーでもなんでもない奴に、知ったような口を聞かれて。
「わかるんです、私も妹がいますから。貴方の面倒見の良さは兄としてのそれだって」
故郷の妹を想ってるのか、目を瞑って穏やかな顔をする。
おれにはもう、妹の顔を満足に思い出せないってのに。
多少の八つ当たりもあった。
「…………A」
思っていたよりも普段より低い声が出た。
どうやら相当怒りがたまっていたらしい。
はい？と首を傾げて返事した彼女の胸倉を掴み、ドンッと壁に押しつける。壁に背中を打った痛みで、Aは片目を瞑って顔を歪める。
「生意気な口ばかり聞くんじゃねェ。お前が相手してんのは海賊だ」
この時、
初めてAの瞳が恐怖の色に染まった。
ようやく見えた彼女が怯える反応に、小さな優越感に浸る。
視線を落としていくと彼女の手先が微かに震えていた。Aもそれに気づいて咄嗟に俯く。
胸倉を離してやり、解放する。
さあ逃げるか、泣くか。
どうするかと行く末を見守っていると。
あろうことか、Aは笑顔で敬礼ポーズを取った。
「はい！今後は気をつけます」
その目はもう、生き返っていた。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
