43-最後 ページ43
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Aと過ごす最後の島のログがたまり出航する。
次でお別れだ。
つまり、行き先はAの故郷。
彼女との別れを惜しみ、クルー達は毎夜のようにお別れ会を開いていた。終盤はただ飲んで騒いでの宴と化しているが。Aはその輪の中で、楽しそうに声を上げて笑っていた。
Aは決して酒を飲んだりしないし、野郎共のように食い散らかしたりしない。
隙を見せない精神は相変わらず。
それでも、……それでも心の底から楽しそうにしていた。
最後の最後まで腹の底を見せない奴ではあった。
ただ、その笑顔はどうしても嘘だとは思えなかった。
「あ、キャプテン！」
「ベポか」
「もう少しで島に着くよ。多分、早朝には」
「……あァ」
島に着く、と何気ない言葉がやけに胸に響く。
いよいよか。ぼんやりとしていた別れが、急激に形となって突きつけられる。もう、すぐそこまで迫っているのだ。
「Aに伝えてくるね」と通り過ぎようとするベポを引き止め、「おれが行く」と早口で言いのける。
もう最後だと思うと、顔を見ておきたかった。
「わかった。よろしくキャプテン」
ベポの少し低い声を背に受け、Aの部屋へと足を進めた。
きっと、
……きっとAと会うのは最後になる。
アイツが故郷に帰っておれ達が出航したら、もう二度と会うことはないだろう。
この広い海での別れはそういうもんだ。
だから余計な感情なんざ自覚するべきじゃなかった。
大切なものを失う辛さは十分すぎるほど理解している。
そして厄介なことにその辛さとやらは理解しているからといって軽減できるわけじゃない。わかってても苦しいんだ。
クルー達の馬鹿騒ぎが落ち着いた深夜は、奇妙なほどに静寂な空間が続いている。
一歩、また一歩と彼女の部屋に近づく一方で、離れていく気がする矛盾はなんなのか。
もう寝てるかもな……と思いつつ、扉をノックする。
すると予想を裏切って「はーい！」と元気な返事が聞こえた。「おれだ」と扉に向かって呟けば、「え、ローさん！？」と慌てた声に変わる。
バタバタと急いだ足音が響いたと思うと同時に扉が開いて「どうしたんですか！？」とAが姿を現した。
扉をノックすれば、こいつが顔を出す。
そんなやり取りもこれで最後だ。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
