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「ローさん？具合でも悪いんですか？」
「……別に」
頭を過ってしまったとんでもない気持ちに、思わず額を抑える。
……参った。こんな、こんなはずではなかったのに。
一生認めるつもりなんてなかった。
それを、こんな形であっさりと認めてしまうとは。
一度自覚してしまえば、もう到底逃げられない。
思い返せば、Aをこの島まで連れて来ていた時点で答えは出ていたのだ。
「無理しないでください。今日はもう帰りましょう」
「！待て」
「え」
テーブルに手をついて腰を浮かせたAの手首を掴む。
今日はっつったって、ここが最後の島なのだから、今日を逃せば2人で出掛けられる機会は二度とない。
「体調が悪いわけじゃねェ。だから、もう少し島を見て回るのにつきあえ」
「……そ、うですか。わかりました」
「ローさんがそう言うなら」とヘラッと笑う。
今までは胡散臭いと感じていた笑顔さえ、心臓を鷲掴みにされるほど愛おしく思えるのだから。重症だ。
気持ちを認めただけで、色々なものが変わる。
ずっと目を逸らしてきたものに、気づかざるを得ない。
笑顔に見惚れて、彼女の手を離すタイミングを見失ってしまった。
「行くぞ」
「あ、手……」
「あ？」
「……いえ、」
強引に手を引いたままカフェを出た。
次の店に着くまでAはおれの斜め後ろを歩いていたから、どんな表情をしていたのかはわからなかった。
「ローさん、気持ちは有り難いのですが、私が貰ったお小遣いではこんなお高そうな服とても……」
「だろうな。お前みたいな小娘には手の届かない値段だ」
「いやじゃあなんで連れてきたんですか！！」
「買ってやる」
「へ？」
次に訪れたのはレディースの(高級)服屋。
こんな店、普段なら絶対に入らないのだが、Aがいるので仕方がない。ただ単に、服をプレゼントしたいからと甘やかしにきたわけではなく。
「その白いツナギで故郷に戻るわけにいかねーだろ」
「……でもわざわざ、こんな高い店じゃなくても」
「おれの船が貧乏だって言いたいのか」
「違いますよ！なんでそんなに揚げ足ばっかとるんですか！」
ムキになって言い返すAに、フッと頬が緩む。
おれが笑ったことが意外だったのか目を丸くしている間に、ポンポンと優しく頭を撫でる。
「好きなの選べ。餞別だ」
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
