18-別れはまだ ページ18
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シャチ
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Aに出会ったあの日、故郷に帰りたいと言った彼女に対して、船長は「次の島までなら乗せてやる」と望みを半分だけ叶えることにしてあげた。
確かにおれ達は海賊で、仲間でもなんでもない彼女に親切にする道理はない。
でも、と逆接の接続詞が頭を過ってしまう。
でも、どっちにしろログポーズで彼女の故郷は通るわけだし、このまま連れてってやってもいいんじゃないの？何よりAはここにいる間、よく働いてくれたし。
その対価として連れてってあげても、……
足を進めては止め、進めては止めを繰り返し、ようやく覚悟を決めた。よし、船長に直談判してみよう。……バラバラにされるかもだけど、その時はその時だ。
そして甲板から船の中へ入ろうとしたら。
「あれ？あの島、……無人島っぽくね？」
「あ！ほんとだ！街とか全然無いじゃん」
「え、じゃあA、無人島に置いていくっつーこと？」
そんな会話が耳に入って。
珍しく頭が回り、良いことを思いついた。
「おい、あの島は無人島なのか？」とそこで会話してる奴に確認を取る。
「んー、双眼鏡で見る限りはそうだな」
「……そっか！」
思った以上に声が弾んだ。
これならいけるかもしれない。
飛び跳ねるように走り、船長室まで向かう。
ノックをして扉を開ければ、いつものように本を読む姿があった。本から顔を上げておれを見る。
「どうした？シャチ」
「島が！見えたんですけど！」
「……そうか」
あれ？思った以上にテンションの低い船長。
いつもなら島が見えたと告げれば、あからさまにでは無いが、ちょっと楽しそうな顔をするのに。
もしかして、Aと別れるから？
警戒心の強い船長に限ってそんなことはないと思うが、僅かな可能性に期待が募る。
「その島が、無人島だったんです」
「！人は、いねェのか」
「恐らくいません」
「…」
「いくらなんでも、無人島なんかにAを置いていくのはどうかと思うんですがね」
船長は腕を組み、目を閉じる。
多分どうするか考えているのだろう。
眉間には微かに皺が寄っている。
そして目を開ければ、口角を上げて島が見えた時のいつもの楽しそうな顔をしていた。
「……無人島なら仕方ねェ。次の島にもAを連れてく」
全く、故郷まで連れてくって言ってやらないのが船長らしいな。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
