02-次の島まで ページ2
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この女、救いようのねェ馬鹿だ。
初対面ながらそう悟り、真面目に相手するのも阿呆らしくなって構えていた
こいつの要求に親切に応じてやる義理はない。
おれ達は海軍でも正義の味方でもない、ただの札付きの悪党なのだから。
しかし関心の無い他人だとは言え、海に放り投げて追い出す趣味はない。……ならばもう、仕方がないが。
答えが丁度導かれたタイミングでシャチが問いかけた。
「せ、船長、どうしますか……」
「今すぐ放り出してやりてェくらいだが、外はまだ嵐だろう、浮上するわけにはいかない。かと言ってこいつを故郷まで送る気もねェ」
「と、言いますと……」
Aは口を挟むわけでもなく、ただおれの意見に耳を傾けていた。笑顔の仮面を被ったまま。海賊を前にしても決して怯まないこいつの目。その目に見つめられるのは、なんだか気分の良いものではなかった。
少しイラつきつつ、感情を抑えて結論を述べる。
「次の島までだ」
「……次の島？」
「次の島まででは連れてってやる、そこで降りろ」
Aのこれまで死ななかった瞳が微かに曇る。
ようやく見えた人間らしい反応。
それでも弧を描く口元で「次の島まで…」と明らかに落胆した声で反芻する。
ベポ達は落ち込む彼女を不憫に思ってるようだが、船長であるおれの意見に反論することはなかった。海賊の世界では船長の言うことは絶対だ。
話は済んだので部屋に戻ろうと背中を向けると、Aの「では、次の島までお世話になります！」という声が飛んできた。清々しい程はっきりとした口調で、その声にはもう、陰りはなかった。
……何故、こいつの気持は折れないんだ。
馬鹿の気持ちはわからない。
だったら考えるだけでも無駄か。
そのまま返事も返さずに歩き出す。
振り向きたくなかった。
振り向いたらアイツの、ヘラヘラした笑顔を見てしまうだろうから。
あの笑顔が、どうしようもなく気に入らない。
何も考えてなさそうな奴は一番苦手だ。
4人を置き、今度こそ自室に戻る。
読んでいた本を再び開くも、妙に集中できなくて、結局ベットに横になることにした。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
