39-裏切れない ページ39
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Aの人差し指が示す方には、確かに人が倒れている。体も服も派手に濡れているから、生憎漂流でもして流れ着いたのだろう。ここからじゃ生きているかさえ分からない。
「倒れてるな」
「倒れてるなってっ……大事じゃないですか！助けましょうよ！！」
「？何故だ」
「だって、ローさん医者でしょう！」
「うるせェ。あんな奴ほっとけ。さっさと帰んぞ」
「！……ローさんも所詮、ただの海賊なんですね」
ただの海賊で結構、と皮肉で返そうとしたところで「期待した私が馬鹿でした！」と怒鳴られ、ついさっきまで大切に抱えていた服を投げつけられた。
呆気に取られているうちに、Aは走って行ってしまった。振り返ってしまう寸前に見えた彼女の瞳には、軽蔑が強く浮かんでいた。
地面に落ちてしまった袋を拾い、さっと払って汚れを落とす。
1人になり静かになって、冷静に分析し始める。
果たして、Aは何をそんなに怒った？
おれが倒れてる奴を助けなかったから？
……まさか、とそんなありきたりな理由なわけないと頭を小さく横に振る。
おれは海賊だ。医者とはいえ人助け稼業をやっているわけではない。だから、見ず知らずの奴を助けてやる義理はない。
Aだってそんなことはわかっているはず。
わかっているはず、だよな。
「期待した私が馬鹿でした！」
ピシャリと体が固まる。
さっきのAの言葉が頭の中で響いた。
期待、した……。
つまり、Aはハートの海賊団を他の海賊と区別していた。
ただの略奪者共とは違うと。
だから、おれならきっと動いてくれると助けを求めたんだ。
それを、おれは拒否して。
Aの期待を裏切ったんだ。
「……くそ、」
惚れた女の期待を裏切ったままでいられるわけねェ。
そう思った途端、体はすでに走り出していた。
彼女が待つ方へと、真っ直ぐ。
「A、代わる」
「！ローさ、」
「これ待ってろ」
「……はいっ」
服を持ち主に押しつけ、倒れている男の容態を診る。
救急措置をすませ、設備が揃っている船へと運んだ。
たく、何故おれが人助けなんざしなくちゃいけねーんだ。
そんな不満は、
「ローさん、ありがとうございます……！」
この笑顔が見えればチャラになる。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
