34-question ページ34
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結局、Aを故郷まで連れて行くことにした。
シャチに頼まれてすんなりと承諾してしまったのには、表情には出さなかったが自分でも驚いた。迷う暇もなく、すぐに頷いてしまって。
時々、自分の感情が分からなくなる。
おれはAをどう思っているのか。
遡ってみれば、彼女に対しての評価が改まったのは、確かにあの時だった。
Aが肩を負傷しながらも獲物を持って帰ってきたあの日。
過酷な海の上で命を懸ける覚悟はある奴なのだと、素直に感心したのを覚えている。
信用ならない奴ではある。
だがそれは好感度とイコールではない。
……好感度？
答えがわからない問いをそのまま放ってけない性分だった。わからないのなら、確かめればいい。もうタイムリミットは迫っていて時間がない。
島に着いたと報告があった。
クルー達は役割を分担してさっさと動いているだろう。
特に読む気はなかったが開いていた本を閉じ、側に置いておいた帽子を被る。愛用の刀を肩に担いで部屋を出た。
そして僅か数メートル先にある隣の部屋の扉を軽くノックする。部屋の主は元気よく返事をして、すぐに扉を開けた。
「あ、ローさん。どうしました？」
「島に出る。ついてこい」
「えっ。私でいいんですか？」
Aは呆気に取られたように口をポカンと開ける。
おれに誘われるなんて思ってもみなかったのだろう。
散々警戒されてきたのだから。
言葉を失う彼女に、「いいから早く準備しろ」とだけ言い残し、その場を去る。
少し遅れて「5分！5分だけ待ってください！」という慌てた声が背中に届いて、続いて扉が勢いよく閉まる音が響いた。
甲板で待っていればいいか。
そう考え日当たりの良い外へ出る。
どうせもうすぐ船を降りることになる奴。
そうしたらもう、二度と会うことはないだろう。
ズキッと胸の辺りに鋭い痛みが走る。
広い海を渡って行く上では、出会いの数も多いがその分比例して別れの数も多い。
だが、別れが惜しいと思ったのは初めてだった。
Aが来る前に、もうこの問いの正解は見えかけていた。
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ぱぅち(プロフ) - kiさん» わわ、ありがとうございます…！コメント頂けて本当に嬉しいです(^ ^)続編ではどんどん種明かしして参りますので…笑 続編でもよろしくお願い致します…（ ; ; ） (2020年4月5日 11時) (
レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
ki(プロフ) - とても良くて思わず、初めて感想を書いてみようと思うほどでした。最後のシーンに驚きすぎて続編が楽しみです！無理せずに頑張ってください。ワクワクしながら待っています！ (2020年4月1日 3時) (レス) id: d59bd8fff6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 紗さん» あたたかいお言葉ありがとうございます…！（ ; ; ）まだまだ未熟ですが、文章を褒めてくださると本当に嬉しいです！続編も頑張ります！ (2020年2月4日 21時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
紗(プロフ) - 第一章おつかれさまでした！！表現の仕方とか素敵でとても好きです！更新ゆっくりでいいので、楽しみに待ってます！ (2020年2月1日 18時) (レス) id: d2cf8ed97e (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 氷屋さん» コメントありがとうございます！ほんとに些細な描写が繋がっていったりするので、気がついてもらえるととても嬉しいです(^^) これからも不器用なローさんを描いていこうと思います！頑張ります！ (2020年1月22日 22時) (レス) id: 755637e22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月28日 18時
