42-再会 ページ42
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ちょっと遠くで一際大きな歓声が上がる。きっと船長が皆の前に現れたのだろう。船長は、生きている。それが確認できれば十分だ。
勢いで逃げ出してきちゃったけど、まあ、……大丈夫だろう。船長はきっと、クルーに捕まってあの場を離れられないはず。
答えを合わせをするのは後でいい。
……いや、でも船長疲れてるだろうし、今日は早く寝てもらって明日とか？うーん……
余計なことをぐるぐる考え始めてしまい切りがない。とりあえず今ではなくていいか。
身を隠した今のうちに覚悟を決めておこう。
森の奥に進み、木に寄りかかって座る。
軽く上を見れば、たくさんの木から重なり合う葉の隙間から、煌びやかな夜空が覗く。
ああ、本当に、良い天気。
絶好の再会日和である。
つい最近まで毒ガスに囲まれていたなんて信じられないほど、森に流れる空気は澄んでいた。
穏やかな雰囲気に魅せられて、緊張も徐々に落ち着いてきた。
そろそろ船長に会いたくなってきた頃。
半透明の青いサークルがあっという間にこの森を覆った。驚く間も無く、私の隣にあった棒切れが消えて。
「……船長が帰ってきたのに、迎えに来ないとは。偉くなったもんだなA」
代わりに、たった今会いたかった人が現れた。
……船長だ、本物だ。
夢じゃない。
ゆっくりと手を伸ばす。
船長のその手を絡め取り、自分の方へと引いた。
完全には倒れ込まず、彼の胸に寄りかかる程度。
心音が、熱が、伝わってくる。
船長は生きている。
生きて、私の前にいる。
理解した途端、涙がこみ上げてきた。
繋いだ手をきゅっと握り返す。
船長は私の名を呼び、空いてる方の手で顎を掬う。
至近距離で船長はいつものようにニヤリと口角を上げていた。
涙でびしょびしょに濡れた私を見て一言。
「……なんつー顔してんだ、不細工」
「だって、船長ぉ……！」
「正直言うと、また会えると思っていなかった」
「……だと思ってました」
「でも会えた」
「はい、……おかえりなさい、会いたかったです」
顎に添えられていた手が、頬まで上がる。
少しずつ、でも確実に彼の顔が近づいて。
あ、でも、ちょっとまって……
焦った私は唇が触れてしまう前に手を滑り込ませ、船長の口元を覆った。
船長は不機嫌そうに「あ？」と眉間に皺を寄せる。
「ちょっ……と待ってください！」
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
