16-彼は恩人で、そして ページ16
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「(本当に、寿命が縮まるかと……)」
船長はあまり筋肉を見せびらかすタイプではないから、あんな風に上半身を見るのは初めてだった。
しかも風呂上がりなんて、色っぽさに更に磨きがかかって。何が言いたいかというと、破壊力がすごい。その一言に尽きる。
あれからしばらく時間を置いて、3度目(正確には2度目)の正直でシャワーを浴びに行った。
そうしていつもの白いつなぎに身を纏う。
うん、やっぱりこれが落ち着く。
自室に入れば、真っ先に目に入った本。
気分が下がる。私は情緒不安定か。
さっきはつい勢いで口走ったけど、届けに行くって言っちゃったんだよなあ。
行かなきゃ、海賊に二言はない。
正直気は乗らないけど、本を持って船長室に重い足を運んだ。
コンコン、と控えめにノックをする。
すぐに「入れ」と返事が聞こえたので、渋々ドアを開ける。
「失礼します……」
「悪いな、そこの本棚に入れといてくれ」
「あ、ハイ」
船長は別の本を読んでるようだった。本に視線を合わせて、こっちを振り向きもせずに言った。彼の指示通りに本棚に買った本を押し込む。
ものの数秒で終わった作業。
船長はついに私を見ることなく「おやすみ」と口だけで言った。
……その挨拶は、もう帰れの合図。
ズキリと痛む胸に手を当てる。
「……おやすみ、なさい」
部屋を出て、パタンと閉まった扉にもたれる。
今日は船長の一言一言に振り回されっぱなしだ。
彼の一言に喜んだり、戸惑ったり、傷ついたり。
私はなんて、わがままなのだろう。
彼の特別にはなれないと思ってるのに、特別でいたいとも思ってる。
そんな矛盾の塊が心を支配する。
こうなってしまう原因はとっくにわかってる。
私は船長が好きなんだ。
船長は恩人で、好きな人だ。
けど、それを伝えたら後には戻れない。
終わってしまう。苦しくなるだけだ。
だって船長は、私を私として見てくれたことがないから。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
