14-だる絡み ページ14
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私は遠のく背中を追いかけられなかった。
船長はもう、花火の後のように引き返してはくれなかった。
重い宝箱を持ち続けている腕が震え始めてるのも気にせずに、その場に立ち尽くした。
船長に、あんな顔させてしまった。
あんなに、辛そうな……
どうすればよかったの？
何が正解なの？
傷つけないためには、どうやって。
ただのクルーとは思えないと断言された。
また気づかないフリをするしかないのか。
船長に会ったら、頭空っぽな風を装って、何事もなかったように話して。
……ずっと同じことの繰り返し。
でもそれしかない。いつか船長が勘違いだったと気づくまで、私は知らん顔をする。
それでいいんだ、と自分の考えを肯定することで精一杯だった。
潜水艦に戻り、廊下を歩いていると酒瓶を担いだシャチに遭遇した。シャチはもう既に飲んでたのか「よっAじゃーん。うお、宝箱持ってるし！やるなあ」と私の肩をバシバシ叩いてダル絡みしてくる。
……軽く酔ってるな、こいつ。
ほのかに香るお酒の匂いに少し距離を取る。
私はお酒はあまり得意じゃない。飲めるけどね。
「帰ってくる途中に海賊船見つけたから、ついでに盗んできちゃった」
「おおっ海賊らしくなってきたじゃねーか！」
「でしょ？」
得意げに宝箱を見せびらかす。
酔っ払いに持ち上げられて調子に乗ってしまうも私も阿呆だ。
「そういや、A、船長と一緒にいたんじゃねーの？ベポから聞いたけど」
「まあ、……うん」
「なんでバラバラに帰ってきたわけ？喧嘩でもした？」
「……喧嘩、じゃない」
「じゃあなんで」
「私が敵船に侵入してる間に船長には先に帰ってもらったの。ほら、待たせると悪いし」
「ふーん？」
咄嗟に口から出た嘘をシャチは見抜いたのだろう。
疑い深い目から逃げるように視線を斜め下に落とす。
「まあ、それはともかく……その本は？船長のだろ」
「あ」
そうだ、船長の本、私が持ってたんだ……
せっかく買ったんだし、読みたいだろうし。
けど直接渡しに行くのは、ちょっと。
やっぱりまだ気まずい。
「……お願いシャチ、船長に届けてくれない？」
「え？なんで？Aが渡しゃいいじゃん」
「それは……」
「喧嘩してるわけじゃないんだろ？じゃあ行きなよ」
シャチは揚げ足を取り、「じゃーな」と空いてる片手をひらひら振ってこの場を後にした。
……こいつ、確信犯だ。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
