13-落とす方法 ページ13
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初めて出会った時、船長は私にちっとも興味を示さなかった。
むしろシャチやペンギンが、積極的に話しかけてくれた。最初は船長にクルーになれと誘われるなんて思ってもみなかったなあ。
船長に誘われるようになったのは、彼に偶然にナギナギの実の能力を使ってるところを見られてからだった。
「詰めが
「……はい、まさかあんな所でこけるなんて」
船長に助けて貰った御礼を言えば、そう注意を頂いた。ただでさえ失敗して落ち込んでるのに、船長にあの醜態を見られていたなんて。
恥ずかしい。穴があったら入りたい。
船長に預けていた本を宝箱の上に乗せ、本を落とさないように箱を持つ。
うん、なんかようやく荷物持ちっぽくなってきた。
「まァ、宝は盗んでやったんだ。上出来じゃねェか」
「船長、傷心中の女には優しくしない方が身のためですよ」
「？どういう意味だ」
「傷心の女は男に優しくされるとコロッと落ちて……」
言ってから、しまったと口を噤んだ。
船長にはこういう話題、振らないようにしてたのに。
仕事終わりで緊張の糸が切れ、ついいらん事を喋ってしまった。
船長は「ほう…」と一人呟く。
その口元には三日月が浮かんでいる。
「A、よく頑張ったな」
「っだから……」
「その箱貸せ。持ってやる」
「いいです！持ちます！何なんですか！！」
声を張り上げて箱を持とうとした船長の手を拒否する。
途端に始まった船長の優しさアピール。
なんでこんなあからさまなことするの？！
これじゃあ、私が、気づいてしまう。
船長はフッと緩く笑って「こうすると女は落ちてくれるんだろう？」と当てつけのように言い返す。
好意を真正面からぶつけられて、頬にかーっと熱が集まる。
「なんですかそれ、私に惚れられたって何も良いことありませんよ」
「からかわないでください」とそっぽ向いて、船長の前を歩く。
「からかったんじゃない」
「どう見てもからかって……」
「お前に振り向いてほしかっただけだ」
「っ」
思わず足を止める。
よかった、今が夜で。赤い顔を隠せる。
「何を…！」と顔だけ振り向くと。
言葉を失った。船長の、眉を下げた儚い笑顔が目に入ったから。
「おれはお前を、……Aを、ただのクルーとしては見れねェ」
呆然と立ち尽くす私の横を「……ごめんな」と苦しそうに呟いて通り過ぎていった。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
