03-静かな告白 ページ3
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黙ったまま、自分の手のひらから目を離さない。
あろうことか、その手を自分の口元に当てた。
______まるで口付けるかのように。
ついさっき私に触れた手に、愛おしくて堪らないと饒舌に語る瞳で。
僅かに残る私の体温を彼は噛み締めている。
見てはいけない、本能的に思った。
もしパンドラの箱なんてものが実在するなら、その中身は今目の前に広がっている光景なのではないかと疑ってしまうほど。
こんなにも綺麗な男を、見たことがなかった。
この世のものとは思えない絵に心臓がゾクリと震えた。
極めつきに船長は一言、
「…………A」
私の名を呟いた。
こっそり覗いてるのがバレたのかと焦ったが、そうではなかったらしい。
そう確信できたのは、船長の声があまりにも優しかったから。初めてその声を聞いた私の耳がそわそわするほど。
船長は私の体温を愛で、宝物のように私の名を呼んだ。
この船長の態度から、ある疑惑が浮かぶのは当然のことだった。
“船長は私のことが好きなのではないか”と。
タイミングを見計らって医務室に戻ると、船長はさっきまでの彼が幻だったかのように、普段通りの鋭い猫みたいな目つきになった。
……すごい。船長は隠すのが上手い。
こりゃ気づかなかったのも無理はないだろう。
「んじゃ、大人しくここで寝てろよ。何度か様子を見に来る」
「……はい」
翌日、ペンギンに御礼に言いに行けば、船長の予言した通りお説教をくらった。
「お前の能力は確かに敵船の侵入に役に立つ。だが、無敵なわけじゃない。もっと周囲を警戒しろ」とぐうの音も出ない正論を頂いた。
そして1時間にも及ぶ説教が終われば「そういえばな」とペンギンは肩を竦めて笑った。げっそりしている私に構わず続ける。
「船長な、Aが海に落ちた後、自分も能力者だってのに助けようと海に飛び込んだんだ。いやー、おれらも相当焦ったよ。いつものあの人なら、そんな馬鹿なことしねーのにな」
ペンギンの話を聞いて、あの時の船長の様子が蘇った。
ひどく焦った顔と声で、さらには勢いに任せて海に飛び込むなんて。
疑惑が確信に変わる音がした。
……船長は私のことが好きなのだ。
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涼野紫乃(プロフ) - 完結おめでとうございます！作者様のローオチの作品は他にも読ませていただいてますが毎回話の構成、終わり方が最高で泣かされてしまいます。新作も絶対読みます！これからも頑張ってくださいm(_ _)m (2020年8月16日 8時) (
レス) id: 5f142ceaa5 (このIDを非表示/違反報告)
てい。(プロフ) - 完結ご苦労さまです！更新まだかなと楽しみに思えるほどこの小説が好きでした！1番が気になっています、気になりすぎて早く読みたいくらいですが…これからも頑張ってください！応援してます (2019年9月24日 18時) (レス) id: 6af5281e1b (このIDを非表示/違反報告)
ぱぅち(プロフ) - 皆様ご協力頂きありがとうございました…！一人一人にきちんとお返事したいところですが、有り難いことに多くの方にご意見をもらえて…泣 でもコメントや感想はすべて読ませていただきました！本当に温かいお言葉をもらえて嬉しいです！今後もよろしくお願いします…！ (2019年9月24日 17時) (レス) id: fbe06363c9 (このIDを非表示/違反報告)
ぴろぴろ(プロフ) - 完結お疲れ様です★遅くなりましたが、3番が読んでみたいです(*´∀｀) (2019年9月24日 11時) (レス) id: 5ce8d72b22 (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - 2.3どちらも捨てがたいです(ﾟ´ω｀ﾟ)！完結お疲れ様でした！ (2019年9月24日 1時) (レス) id: e1ea64eec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぅち
| 作成日時：2019年9月8日 18時
