1人と1振でつくりましょう (ページ38)

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行かないでと言えたら。最後にしたくないと言えたらページ38

いち『審神者様……私は』

次に耳に入ってきた声はとても小さくて震えていた。
太ももに乗っている拳はぎゅっと血が出てしまうのではと思う程強く握り締められておりその姿に胸が苦しめられて泣きそうになった

｢いち、ご…｣

震える彼の側に近寄り揺れる拳に手を添えて声をかけるとするりと長い指が絡み自分の胸に手を当て見えなかった顔がようやく見えた。
サラリと揺れる水色の髪の毛から見える黄金の瞳から大粒の雫が零れ落ち震える唇が開かれ吐き出されるように声を出す

いち『………もしも、あなたの本丸に…私が顕現されていなければ…私は、あなたの刀になりたかった』

すっぽりと覆い被さる大きな手は私の小さな手に縋るように震えて頬を伝う涙は止まらなく流れていく
そんな一期一振の姿に耐え切れるわけがなく涙を流しながらもぎゅうっと強く、強く大きくて小さい身体を抱き締めてあげた

｢なればいいじゃんか…一期が2人いたって、みんながいたって…刀解なんてしないでよ！やだよ…別れたくない！！｣

いち『……ははっ……あなたなら、そう仰ってくれると思っておりました……あなたの真っ直ぐな気持ちと暖かい皆様の気遣いが私の心を癒してくれました。価値のある物、欲を求める存在ではなく1人の人間として扱ってくれたことが嬉しかった』

ゆっくりと頭を撫で離された身体のままポロポロと流れ続ける涙を掬い一期一振は今一度笑いかけてくれる

いち『審神者様……いえ……今だけは、主と呼ばせて下さい。主……あなたに出会えて良かった。私の幸せを主がみつけてくれました』

ひとときでもこの瞬間人の身を得て良かったと貴女のおかげでそう思えた

最初は自分が強くしっかりと抱き締めて

最後は、あなたが優しくふわりと抱き締める。

一期一振の涙が肩を濡らし最後の別れへと覚悟を決める為にその腕にしっかりと刻みつける

もし、自分が漫画をかけるのであれば一期一振の涙を流す姿は泣けてきますよね。あくまでも余談ですが後ろにいる5振もこの本丸の初期刀が流した涙のようにひとつの涙を静かに流している＿＿
かのように絵がかければいいんですけどね←
私には絵心がないんでね、こうやって想像で泣いてます。

この一期一振の悲しい想いにきっと、この主なら私はついて行きたいと願ったでしょう。
このオリジナル小説の中で1番好きな場面です。本当に(号泣)
すいません。作者の小言でございます。
次の場面は最後のお別れ。思音の初期刀が動き出します