レインボープール【2】

亀裂（1） ページ16

辺りが暗く、空には一面の星が広がっている。

一人、プールサイドに腰掛けていた僕はそっとスマートフォンを取り出し操作をする。

そのままぼーっと月を眺めていると後ろから声を掛けられる。


｢郁弥っ...！｣


その声にゆっくりと振り向く。

そこにはさあやが息を切らして立っていた。

どうやら走ってきたらしい。


｢きゅ、うに...どうしたの？｣


さあやが息を整えながら訪ねてくる。


話は決まっている。


｢今日さ、...さあや、何してた？｣


そう訪ねるとさあやは少し焦ったように目線を外し、家にいたよと言う。

あぁ、やはりそうなのか。


さあやは...


｢...松岡のこと、好きなの？｣


さあやは大きく目を見開いた。

そして消え入りそうな声で違うよと呟いた。


｢じゃあ、なんで抱きしめられてたの？｣


心が落ち着いてくる。

さあやのことが好きだ。

とてつもなく。

この思いは誰にも負けないと自信を持って言える。

だからこそ、さあやに好きな人がいるのなら...、






松岡がいるのなら






手放すべきだと思うんだ。








君の幸せが1番大切だから。

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