アリス、知る 01 ページ40
いつまで経っても銃声は聞こえないし、意識も遠のかない｡もしや気づかない間にあの世に逝ってしまったのか｡
Aはいつの間にか閉じていた目をおそるおそる開いた｡
｢な、に……?｣
オレンジ色の炎が見えた｡
Aは建物ごと燃えたか自分が地獄に堕ちたかと思った｡
しかし体をむしばむような暑さは感じられない｡しかもその炎はどこか優しさを帯びているのである｡
目をこらしてAは炎の正体を見極めようとした｡
｢Aっ!｣
息をのむ音と聞き覚えのある声がAに届く｡
Aはやっと炎が何者であるか分かった｡
｢ツ、ナさ、ん?｣
信じられないとでも言うようにAがその名を呼ぶ｡ツナは苦しそうに顔を歪めた｡
｢なんでデーチモがここに!?こいつが出ていったように偽装したはずっ｣
｢偽装工作が下手すぎんだよ｣
獄寺の呆れた声も聞こえる｡
これは夢なんじゃないかとAは自分の目を疑った｡
だが確かにそこにはツナと獄寺、クロームが立っていた｡
｢ここが何故分かった!?表に見張りを大量に置いたのにどうやってここまで!?｣
男はツナたちの突然の登場に取り乱さずにはいられないようだ｡
｢気づかなかったか?AにはGPSがついている｡すぐに場所なんて分かる｡見張りは山本たちが対処してるが、もうすぐこっちに来ると思うぞ｡……クローム、Aを｣
ツナに頼まれクロームがAに駆け寄る｡男はとっさに動くことができず、固まりきっていた｡おかげでAは無事に救出された｡
｢A、大丈夫?｣
クロームがAを抱き上げ尋ねる｡Aはただ頷くことしかできなかった｡男だけでなく、彼女も現状に動揺しているのだ｡
｢っざけんな!こんなところで邪魔されてたまるか!計画変更だ、ここでお前らを消し去るっ!｣
男は怒りをあらわにして、手を広げた｡
するとぞろぞろと男たちが扉から入ってくる｡十数人はいるだろう｡3人だけで、しかもAを守りながら戦うのは厳しいように思える｡
しかしAの冷たい一言で一気に状況が変わった｡
｢嘘つき｣
｢あ゛?｣
｢アンタに言ったの、嘘つきって｣
Aは凛として前を向いていた｡
｢何言ってんだ?お前らはこいつらにボコられるんだよ!｣
｢だから嘘つきって言ってるの｡だって｣
全部偽物じゃん｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年5月27日 19時
