おーとまちっくlove

勇 ページ6

「あー…分かった。一週間だけ一緒にいて決めよう。そもそも俺ら今話してるだけで全然お互いのこと知らないだろ。」

ほら、俺が折れれば彼女は笑顔になる。
世の中俺はそうやって生きてきた。
全部俺のせいで全部俺が何とかすればいい。きっと面倒な性格ゆえに彼女も引くだろう。

「それに上杉さんだって俺のこと知らないからきっと飽きるよ。そのうちね。」

でも目の前の彼女はキラキラと目を輝かせてこっちをみている。

「それでもいい！！嫌われちゃったかと思った。」

にこにこと笑う彼女はピョコピョコと跳び跳ねるとパーマをあてたふわふわの髪をなびかせながら
ありがとう
と満面の笑みでいった。

俺はこのとき不覚にもドキッとしてしまってうまく笑えなかった。
これは好きとかではない。
自分に言い聞かせる。

あーあ。
家に帰ったらまたきっと俺は過食嘔吐にはしるんだろう。
こんな人間が人にすかれてはならない。
親から言われた言葉だった。

俺は
つまらない人間だ。
いつも思う。
こんな目の前の人を喜ばせることなんてめったにない。
もしかすると本心は俺が折れることで彼女を笑顔にさせることよりも
俺を好きといってくれる存在を手放したくなかったのかもしれない。
だから少しかけてみたくなった。
本心はそういうことかもしれない。

「勇くん？」

黙っている俺を大きな瞳をこっちに向けて不思議そうに見つめる彼女。

「私、付き合えなくてもいいから、勇くんと仲良くなれるように頑張る。」

照れくさそうに笑って
じゃぁね！
と元気よく挨拶するとやっと自分の家に帰った。

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