おーとまちっくlove

勇 ページ5

突然話しかけてきた彼女は俺とは真逆の学級書記。
名前は確か上杉 妃。
小さいが声はでかくお喋り。
おまけに言葉が真っ直ぐなところがあるし多少絡みづらい。でも
ポッチャリとした体型ではあるがけして不細工ではなくかわいい方だと俺は思う。

そんな彼女が突然話しかけてきた。

そして過食嘔吐を自分で暴露した上に嘔吐が好き。
そしてそして挙げ句のはてに付き合えと。

訳がわからない。

だが彼女は俺を返すつもりもなく、俺のカーディガンの裾を握って見上げている。

そんなことされると身動きがとれない。まず女ともつるんだことのない俺に何をしろと。
過食嘔吐という共通点を話されたとしても同情もできないしむしろ俺は直したいというのに。

彼女のマンションの前でどうにもできず俺はとりあえず彼女の目線に合わせてしゃがみ話す。

「君が過食嘔吐だろうが俺が聞く権利もなにもないし君が聞く権利もない。それに、嘔吐が好きだろうが俺にはなにも関係ないだろう。」

「そうだけど……でも。」

少し酷しく言い過ぎた気もするがこれで折れるなら付き合うほどの人間じゃない。
可哀想だが俺と付き合う方が可哀想だ。
だから悪く思うな。

「でも？」

「でも……私、やっと理想のひとに会えたって言うか。なんか…確かに勇くんには関係ないけど、それに私可愛くもないしなんの需要もないから付き合うなんて無理かもしれないけど……」

一生懸命話そうとするあまりに涙目になる彼女。
なんか俺が悪いみたいな。
俺が悪いのか。
俺を理想の人間だなんて言う人はいない。
過食嘔吐をしていると知っていながらもそういうのだ。
これは俺の悪い癖だ。でも自分が悪いと思うことで相手は傷つかなくてすむ。
だから今回も。

勇→←妃

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