おーとまちっくlove

二日目(勇) ページ18

痛い。

全身が。

目を開ければ一瞬どこにいるか気付かなかった。

ベトベトした体ときつい匂い。そして冷たくて硬い地面。

目の前のどろどろとした液体を見てやっと頭が覚醒し始め、記憶が蘇る。


吐いたんだ。


そうだ。
片付けもしないまま意識を失うようにして寝てしまっていたのか。こんなところで。玄関だ。玄関で寝るなんていつ以来だ。

あぁ、記憶が蘇ってしまった。

小さな俺は体が弱く、具合が悪くなればすぐに吐いてしまう体質で。

母親は完璧主義だ。

母は………俺に………思い出したくない過去を…………


――――――頭をふる。
こんなことしている場合ではない。
思い出したくない過去なら思い出さなければいい。
さて、何をしようか。
辺りを見回す。
鍵は開けっ放しで焦ってしめる。

近くにある吐瀉物で汚れた鞄から携帯を取り出して時間を確認。

七時半。

学校には間に合うな。
今から掃除をしてお風呂にはいってもギリギリで間に合う。

そう思って立ち上がった途端だった。


―――……っ


急な目眩に体が後ろにぐらつき思いきりドアに体をぶつける。

あぁ……そうか。

自覚した瞬間に襲われる昨日の感覚。

寒気と頭痛。

全く。

とりあえず今することは学校には行けないと連絡を入れること。
学校側は俺がからだの弱いことを知っていて何かと俺に甘い。
昨日の晩、大量に戻して熱もあるのでいけそうにないとあながち本当の事でも言っておけば楽勝だ。
ほら。もう成功。

こうしてまた吐瀉物だらけの携帯をおいて
今度はゆっくりと立ち上がる。

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