おーとまちっくlove

妃 ページ1

――――――勇くんってさ
案外かっこいいと思わない？
てか私結構タイプ！

あー私も思う！
細くてしかも背高いし！
でも弱そうなとこもったいないよね。

確かに、ちょっと頼りない感じはするかも。
でもバイトしてて一人暮らしだし結構しっかりしてんじゃない？

そうだよねー。
近付きにくいからあんま喋れないけど。

ねー。
妃はどうー？

「ん？確かにかっこいいと思うし声も低くて素敵。私は好きだよ。」

どうせ妃は誰でも好きって言うもんね。

「あはは そうかもねー。」


そんな女子トークも聞こえているのかいないのかわからないぼーっと外を眺める
私の横の席の服部 勇くん。

私はまだ真相はわからないが彼のことが好きだ。近づきたくてたまらない。

それはみんなが言うように
イケメンで長身で細身というのもあるがそんなことは二の次で
私が好きな理由は彼が嘔吐していたかもしれないから。

ひとに言えば気持ち悪がられるか、退かれるかの私のこの性癖はもう物心ついたときからそうだった。
最初は幼稚園で友達が吐いていたのをみて何故かいいな。と感じてしまった。
また、小学生のときに風邪で休んだ日に友達が嘔吐したらしく来なくてよかったね。と言われたのに何故か見たかったと思っていた。
エメトフィリアと分かったのは高校に入ってからで、嘔吐をネットで検索したときに自分だけじゃないことを知ったと同時に異常なこともわかった。
嘔吐が好きだなんてどうかしてる。
でも好きなのだ。
ただの嘔吐フェチじゃない。
エメトフィリアだ。
だって嘔吐が性的に魅力があるとおもったのだ…

そんなことはどうでもよくて
前から勇くんが嘔吐してるだの過食嘔吐だのっていう噂はあった。
それも無理はなく彼はとても痩せているし体力もあまりなくて体調もよく崩す。
でも確信がついたのは先週の帰り道、
あまりひとが通らない道の公園のトイレから明らかに嘔吐している声が聞こえたのだ。

声というか音というか。

咳き込んだ声とそのすぐあとの大量の水、または水よりも重い液体がボチャボチャと落とされはねる水音。

その時ちょうど私はバイトで練習を抜けて早めに帰りバイト先まで我慢できずに女子トイレに駆け込んだ。
トイレからでると音がしたのだ。

そりゃもうエメトフィリアなんだからさ聞きますよね。
そのあとどんな人か気になって出てきたのが勇くんだった。

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