ドライフラワーの海に飛び込む ページ1
突然現れた呪霊。嬉しそうな東堂先輩。渡された制服の上着。ほんのり鼻をくすぐる金木犀の香り。
……ん?金木犀の香り?
ちなみにここは、いかにも呪霊が集まりやすそうなとある廃ビルだ。汚臭と死臭はあれど、爽やかさとは無縁の場所。そんな場所で金木犀の香り…?
え、でもどこから?辺りを見渡してもそれらしきものは何もない。
(…まさか)
恐る恐る、手の中にあるものに鼻を寄せる。
(これだー!!)
正真正銘、その爽やかさあふれる香りは東堂先輩の上着から漂ってきていた。正直戸惑いが隠せない。だってあの東堂先輩だ。大変失礼ながら、もっと汗臭かったり男っぽい匂いがすると思ってた。先輩筋肉だるまだし。
あまりの衝撃に、思わずまた顔をうずめてみる。うん、どうしよう。めちゃくちゃいい匂いだ。
「何やってんだ」
「あ、」
先輩の声に我に帰れば、そこにはもう東堂先輩しか立っていなかった。準1級くらいはありそうだったんだけどな、あの呪霊。流石1級呪術師。
当の本人といえば、非常に怪訝そうな顔でこちらを見下ろしている。そりゃそうだよな。後輩が自分の上着に顔を埋めて悦に浸ってたら、そんな顔にもなる。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くろひー | 作成日時:2021年8月20日 0時