美しく舞う桜 (ページ8)

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戦のない世ページ8

桜姫と大倶利伽羅だけがその場に佇んでいる

桜姫は、大倶利伽羅の隣に静かに立つ

大俱利伽羅は吾兵の墓に向かって語りかける

伽羅「…物でいられたうちは…ただ戦っていればよかった…この、感情というやつは…戦うには邪魔すぎる」

そのとき、桜姫が涙を流した。それに気づくのが少し遅れた大俱利伽羅

伽羅「？」

桜姫「おらあに…剣術の稽古をしてくださって…ありがとうございます…榊原様」

伽羅「！？」

目に涙をいっぱいにためながら言う桜姫

そして、地面に座り込んでしまう桜姫

桜姫「はあ・・・はあ」

伽羅「…休んでいろ」

桜姫「…ごめんなさい」

疲れ切っていたのか桜姫は眠るように気絶してしまった。

大俱利伽羅はそんな桜姫を少しだけ移動させ、再び吾兵の墓と向き合う

伽羅「…俺は…あいつらのようにはなれない…なりたいとも思わない…俺はただ…俺には俺の戦い方がある…」

一輪の花を取り出す大俱利伽羅

伽羅「戦のない世か…ふん…そんな時が来たら…俺達はどうなってしまうんだろうな…だが・・・オレもそれを見てみたい…すべての戦を終えたらまた来る…だからな…今はまだ…花は添えないぞ…吾兵」

桜姫「‥・素敵な…言葉ね…加羅」

伽羅「！？」

大俱利伽羅は驚きを隠せなかった。先ほど意識を失ったと思った桜姫が起き上がっていたからだ。

しかしその顔色はとても青白かった。

伽羅「休んでいろと言ったはずだ」

桜姫「もう大丈夫だから」

大俱利伽羅は溜息をつくと、桜姫を再び姫抱きする。

桜姫「加羅？」

伽羅「…慣れ合うつもりはない」

桜姫「ふふっ。…ありがとう」

２人は吾兵の墓から去っていった。

２人が去った直後

信康が現れる

そして、吾兵の墓に手を合わせた

何かを決心したような面持ちで去っていく信康

不穏な風が吹く

ー闇―

青い炎に包まれた一体の検非違使の姿がうっすらと見える

不穏な風が検非違使の姿をかき消していった。