剣術の稽古 ページ2
夜
大俱利伽羅、吾兵がいる。遠くでは桜姫が見守っていた。
剣術の稽古だ
伽羅「戦において必要なのは技術ではない…気だ」
吾兵「気、ですか？」
伽羅「目の前の敵を必ず倒すという気…」
大俱利伽羅が構える。吾兵も並んで構えた。
伽羅「相手の目を真っ直ぐに見据えろ」
吾兵「…はい」
伽羅「そして気を蓄え…放つ」
大俱利伽羅が気合の声とともに刀を振る
吾兵も刀を振った
伽羅「…日頃の稽古から気を操れるようにしておけ…技術は後からついてくる」
吾兵「はい！ありがとうございます！」
遠くから見守っていた桜姫は
桜姫「(伽羅…頑張っているのね。)」
そこに石切丸と信康がやってくる
はにかんでいる様子の信康
伽羅「・・・？」
石切丸「ほら若君、お願いしてごらんなさい」
信康は吾兵に駆け寄り
信康「…のう、吾兵。お前に頼みたいことがあるのじゃ」
吾兵「お、おらあにございますか？」
信康「畑の作り方を教えてほしいのじゃ」
吾兵「畑…で、ございますか？」
信康「わしは…花や、いろいろな植物を育ててみたいのじゃ…でも、どうしてもうまくいかぬ…枯らしてしまうのじゃ」
俯く信康
吾兵「ええ、おらあでよければ、いくらでもお教えいたします」
信康「本当か？」
吾兵「はい。そのかわり…おらあもお願いごとをしてもいいですか？」
信康「何じゃ？何でも言ってみよ」
吾兵「…いやあ」
信康「なんじゃ？何か欲しいものがあるのか？」
吾兵「…おらあに…字を教えて頂けねえでしょうか？」
信康「‥字？字を教えればいいのか？」
吾兵「…はい」
信康「教えよう！わしもまだそんなに多くは教えられぬが、知っている字は全て教えよう！いや、新しい字はお前に教えるために覚えるぞ！」
吾兵「…ほ、本当でございますか！」
信康「約束じゃ！」
吾兵「ありがとうございます！」
手を取り合う信康と吾兵
石切丸「お二人とも榊原殿が心の中でこう申しておりますよ『畑仕事も学問もいいが今は剣術の稽古の時間だぞ』と」
伽羅「…」
信康「そうであった！康政、わしにも剣術を教えてもらえまいか？」
伽羅「…わかりました」
三人並んでの稽古が始まる
石切丸は桜姫と同じところで様子を見つめていた
桜姫「石切丸様」
石切丸「どうしたのかな？」
桜姫「若君は心の優しい子で…ございますね」
石切丸「ああ」
桜姫の頭を数回撫でる石切丸
桜姫は嬉しそうな顔を浮かべ、去っていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヴォルペ | 作成日時：2023年12月17日 18時
