美しく舞う桜 (ページ47)

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少年期の信康ページ47

少年期となった松平信康。その姿は泥だらけだ。

信康「半蔵！」

石切丸「おや…これは若君」

石切丸が信康と戯れる

石切丸「あ、これはまたずいぶんと泥塗れですね」

袖で信康の顔を拭う石切丸

信康「そうじゃ、半蔵。また新しい花を見つけてきたぞ」

信康が懐から花を取り出す

石切丸「おお、これは珍しい」

信康「何と言う花なのじゃ？」

石切丸「鳥兜です」

信康「とりかぶと？」

石切丸「はい、猛毒です」

小さく悲鳴を上げて鳥兜を落とす信康

信康「こんなに小さな花なのに猛毒なのか…やはり植物は面白いのう」

石切丸「また花を摘みに行っていたのですか？」

信康「・・・」

石切丸「剣術の稽古だったのではないですか？」

松平信康「…剣術は好きではないのだ。父上には言わないでもらえないか。」

石切丸「…仕方ありませんねえ…では罰として」

信康「罰？」

石切丸「私の真似をしてくだされ。こうです。祓いたまえ…清め給え…」

信康「こうか？はらいたまえきよめたまえ」

松平信康は喜んで真似をする

石切丸「そうです。お上手ですよ」

そこに物吉貞宗と蜻蛉切、にっかり青江が現れる

信康「あ、忠勝！」

信康は蜻蛉切の肩に乗る

蜻蛉切「おお、若君。だいぶ重たくなられましたなあ」

信康「早う大きくなって父上のお役に立ちたいのじゃ」

蜻蛉切「頼もしいですな。ですが、お役に立ちたいのであれば剣術の稽古を怠ってはなりませんぞ」

信康「…何か他のことでお役に立てるといいな」

物吉「他のことですか？」

信康「…例えば…花を摘んだり…育てたり…うーん…わしに何ができるのだろう」

言いながらどんどん元気がなくなり、考え込んでしまう信康