2振りでの遠征任務 ページ29
天文十一年 十二月 三河、岡崎場付近
にっかり青江と大倶利伽羅は遠征任務を行っていた。
にっかり青江「…疲れたかい？何処かで休んでいこうか」
大俱利伽羅「・・・」
にっかり青江「…それとも…泊まりの方がいいかな」
大俱利伽羅「・・・少し黙っていろ」
にっかり青江は微笑んでいる
大俱利伽羅「・・・任務は終わった。俺は先に帰るぞ」
にっかり青江「つれないなあ」
大俱利伽羅「戦のない場所に用はない」
にっかり青江「…それもそうだね、行こうか」
二人が去ろうとした時、怪しい気配が漂った。
にっかり青江と大倶利伽羅は同時に気が付き、遠くを見つめる
大俱利伽羅「・・・あれは」
にっかり青江「…時間遡行軍」
驚愕する二振りであったが、大倶利伽羅はすぐさま駆け出していく。
にっかり青江は大倶利伽羅を追うように去っていった。
岡崎城内
松平勢と時間遡行軍の乱戦となっている
時間遡行軍が松平勢を一方的に殺伐していく
「服部保長殿、討ち死に！」
「本田忠高殿、討ち死に！」
「榊原長政殿、討ち死に！」
「酒井小五郎殿、討ち死に！」
「鳥居忠吉殿、討ち死に！」
次々と重臣の死が報告される
「助けてくれ―――！！」
そこに、にっかり青江と大倶利伽羅が現れる
にっかり青江「少し‥数が‥多いかな」
大俱利伽羅「・・・関係ない。戦うだけだ！」
大倶利伽羅が敵の大群に突入し、いなくなる
にっかり青江「…ああ、そうだね。さぁはじめようか。」
にっかり青江も後を追うようにいなくなった
岡崎城本丸
数人の侍が松平広忠を守るように戦っている
「殿、こちらへ！」
「ああ」
広忠は赤子を守るようにして戦っている
そのうちに侍たちが討ち取られ、広忠が孤軍奮闘する
「っ！ぐあああ！？」
が、赤子をかばい、背中から斬りつけられた
そこに、にっかり青江と大倶利伽羅が駆け付ける
にっかり青江「大丈夫かい？」
瀕死の広忠はにっかり青江に赤子を託し
「この子を…」
にっかり青江「！」
広忠はそこで息絶えた
敵の新手が迫り、大倶利伽羅が引き受ける
にっかり青江「・・・」
赤子を抱きかかえ、呆然とするにっかり青江
大俱利伽羅「何をやっている！」
にっかり青江「…この子はどうすればいいのかな？」
大俱利伽羅「戦場だぞ！にっかり青江！」
にっかり青江「！」
その言葉にようやく我に返るにっかり青江
二人で何とか窮地を切り抜け、突破したのだった
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作者名：ヴォルペ | 作成日時：2023年3月21日 18時
