美しく舞う桜 (ページ37)

今日:8 hit、昨日:14 hit、合計:4,340 hit

石田散薬ページ37

沖田「土方さん。出稽古の時くらい薬売るのやめたらいいのに。」

土方「な～に言ってやがんだ。これが俺の仕事なんだよ。」

沖田「そうは言ってもねえ。外見がよくないですよ。ねぇ、近藤さん。」

近藤「んー、どうなんだろうな。トシのことだ。何か考えあってのことなんだろう？」

土方「流石は勝っちゃんだ。」

沖田「この人、そんなに深い考え持ってるんですかねえ」

土方「おい総司、お前の生意気な口にこの石田散薬をぶち込んでやろうか？ひょっとしたらその口の悪さも治るかもしれねーぞ。」

沖田「僕の口が悪いのは土方さんの影響ですよ。それに、口の悪さに効く薬なんて聞いたことがない。」

土方「バカヤロー、石田散薬は万能薬だから何にでも効くんだよ。俺はガキの頃からこれを飲んでるから風邪一つ引いたことがねぇ。」

沖田「じゃあ口の悪さには効かないんですね。子どもの頃から飲み続けてるのに土方さんの口はこんなに悪い。」

土方「んそりゃあ、お前…」

近藤「はっはっはっ！トシ、これは総司に一本取られたな。」

土方「ともかく！薬の行商はやめん！いいか総司、稽古ともなれば大なり小なり怪我もするだろ？そんなときにスッとこの石田散薬を出して売れば一石二鳥じゃねーか。」

沖田「あー酷い！怪我をさせておいて薬を売りつけるなんて」

土方「バーカ、怪我させてんのはお前だろうが。」

近藤「まあまあ、二人とも」

沖田「本当の理由は、近藤さんの家のタダで居候させてもらうのが申し訳ないから、こうやって薬を売ったお金を周斎先生に納めてるんだって、素直にそういえばいいのに。」

土方「総司！お前のそういうとこ！」

沖田「やば！先に行ってまーす！」

沖田が走って逃げる

土方「待てコラ！」

土方が沖田を追いかける。近藤は微笑みながら悠々と二人のことを追った。