【ハイキュー】ちょっと甘めな短編集3

夜久衛輔『生意気』* ページ9

〜夜久said〜

俺の幼馴染は可愛い。
小さくて愛らしくて、俺が守ってやらなきゃって思ってた。
俺の幼馴染は可愛い________筈だった。


夜「お前、また背伸びただろ」

市の総合体育館に向かう途中、隣でご機嫌に鼻唄を歌うAに問いかけた。

ギクっ、そんな効果音が付きそうな動きで歩みを止めた此奴はムスッと膨れながら

貴「もーーっ、気にしてるのに!」

キンキンと耳が鳴りそうな大声で怒鳴り付けてきた。
初めこそ俺の方が大きかったのにAは中学2年辺りからグングン高くなって今じゃ音駒高校女子バレーボール部のエースだ。

これ以上の身長は要らないと、そんな愚痴を何度聞いたことか。

夜「いーじゃねぇか、デカい方が」

俺が身長にコンプレックスを感じる理由は此処にもある。

そう、Aが俺よりも大きいことだ。
それも1cm,2cmの騒ぎじゃない。

貴「男の子はそうかもしれないけど私は違うのっ、大きい女の子は可愛くないじゃんかぁ…」

ショートカットに高い背の此奴はこの間も文化祭の男装コンテストに駆り出されたことを酷く気にしていた。

夜「…いいんじゃね？他の奴にAが可愛いって思われても困るし」

思わず口から本心が漏れ出した。
でも実際その通りだ、此奴の可愛いところなんて俺だけが知っていればいいと思う。


貴「へ?」


頭上には間抜け面。
この顔を下から眺めるのも俺の特権だ。俺だけが知っていればいいと思う。


夜「俺がAのこと可愛いって思っててやるよ、これから先どんだけデカくなっても」

見上げた顔は真っ赤に染まっていた。



貴「…衛輔のくせに生意気」









前言撤回、やっぱ可愛くねぇ。

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