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「結婚おめでとう」
『まだ結婚してないよ』
クスクスと笑われる。
そっか、式が決まっただけで結婚はまだか。
岩ちゃんのベッドに腰かけたAの隣に座った。
「仕事はどんな感じ?」
『ぼちぼちかなぁ。まぁ入社したてのときと比べたら慣れてきたし、なんとかやってるよ』
「…なんか、A、都会の女になってるね」
『なにそれ』
そしてまた笑われる。
会話がうまく成り立たなくて、でももっと話したくてとりあえず話題を探す。
なんでもいい、なんでもいいから、もっと話したい。
Aの声、聞きたい。
『徹は彼女できた?』
何を思ってそう聞いてきたのか。
できたって言ったら焦ってくれるかな、なんて。
…たぶん、好奇心だろうな。
「できてませーん」
『えっ、大学の女の子は?』
「いるけど、別に付き合いたいとは思わない」
何人かに告白されたけど、返事は全部断ってる。
そりゃそうじゃん、俺が好きなのはAなんだし、付き合いたいって思ってるのもひとりだけなんだから。
『東京かわいい子めちゃめちゃいるよ』
それって俺が夢中になるような人?
Aよりもかわいい?
Aへの“好き”よりも上回る人?
聞きたいことは山ほどある。
けど、これは全部Aを困らせる。
「そうなんだ」
だから、これしか言えない。
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作者名:肉じゃが | 作成日時:2018年9月15日 21時