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「姉貴、結婚するんだと」
そう言われたのは、ある日のことだった。
岩ちゃんの家に来ていた俺は一瞬ピクリとして雑誌を読んでいる手を止めたがすぐに動かした。
「そっか。よかったじゃん」
大学生になった俺と岩ちゃん。
進学した大学は地元とはいえ全然違うんだけど
今も昔みたいに遊ぶ仲。
ほんとは東京の大学に進学したかったんだけど
学力が足りなくて不合格。
俺は第2希望の私立の大学。
岩ちゃんは志望していた大学に一発合格。
「いいのかよ」
「なにが?」
なんて、岩ちゃんが言いたいことは分かってる。
「お前、姉貴のこと…」
「…」
岩ちゃんのお姉さんのAは今年で26になる。
俺たちよりも6歳上。
Aは進学せず高校卒業したらすぐ働き出して、彼氏ができたのもその職場の人って聞いた。
まだガキだった俺は素直におめでとうって言えなくて、勝手にキレて勝手に妬いた。
だって嫌じゃん、好きな人に彼氏できたとか聞かされても。
どうやって祝えっていうんだよ。
そりゃ年の差ありすぎるしAにとって俺はただの弟の友だち。
恋愛対象にならないことは分かり切ってた。
でも、ちょっとは期待してたんだ。
例えAに彼氏がいても、俺はいつかAと付き合ってやるって。
彼女も作らずにがんばってきた。
でも結婚しちゃえば、そんな努力全部ムダじゃん。
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作者名:肉じゃが | 作成日時:2018年9月15日 21時