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『けーいちゃーん、あっそびーましょー!』
僕の家の前でそう叫ぶAを遠目に見た。
テスト勉強の息抜きがてらにさっきまで本屋に行っていたけど人が多くなってきたから帰ろうとそそくさと店を出て真っ直ぐ家に向かったのが先程の出来事。
『んー、蛍ちゃん居留守使ってるな』
腕を組み足を広げて堂々と家の前に立たれると家の中に入りたくても入れない。
『蛍ちゃ ──── 』
「ちょっと、うるさいんだけど」
傍まで寄りAを見下ろす。
昔はあまり無かった身長差が今じゃだいぶある。
『おー蛍ちゃん、ナイスタイミング』
パチンと指を鳴らして僕を指さす。
「人に向かって指ささない」
Aの白く細い人差し指をしまった。
僕の指とは大違いだ。
「で、なに」
『数学の課題見せてほしいな〜って』
元からAは前もって連絡せずに家に来る癖があるから、何事かと思えばそういうこと。
数学I・Aワーク と表紙に書かれた1冊の本を僕に見せながら お願い とAは言った。
「A、課題写すだけで終わるでしょ」
『あったりまえじゃーん。あ、もしかして家帰って数学の勉強する感じ?大丈夫、私写すのだけは早いから!』
心持ち得意になってふんぞり返るところではない。
「そんなんだから日向や王様と同じ頭なんだよ」
『この前のテストは影山くんより私の方が合計点数1点高かったんですー』
ものすごく低レベルな争い。
張り合うところではない気がする。
『いいもんねー、蛍ちゃんが見せてくれないなら忠くんに頼むし』
「…」
『彼女が他の男の子の家行っていいんですかー』
こう言えば僕が見せてあげるとでも思っているのか。
見せはしない、だってためにならないから。
でも
「見せはしないけど、教えるから家入って」
山口の家に行かせたくないのも事実だったり。
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作者名:肉じゃが | 作成日時:2018年8月19日 12時