1 ページ1
思えばAは昔から変な人だった。
初めて会ったのは僕たちが5、6歳のとき。
「よいしょ…よいしょ…、よし」
あのときはスコップ片手に公園の砂場で山を作ってたんだっけ。
『かーしーてっ』
Aは初対面なのに僕のスコップを貸してほしいと言ってきて半ば無理矢理スコップを奪ってきた。
もう山は完成してたし別になんとも思わなかったけど。
『Aもおっきいお城作る…、わっ!』
自分で作った“お城”に躓いたA。
起き上がったときにはその“お城”は崩れてしまっていた。
『……Aの…お城…』
半ば無理矢理僕からスコップを奪い足元を見ずに自分の作ったやつに躓き崩れた“お城”を見て泣きそうなAは俺の中では変な人にそのとき認定。
『うぅぅ……』
「もっかいつくろ。今度は一緒に」
泣かれるのはめんどくさかったのだろうか。
僕は気づけばこう言っていて一緒に“お城”を作っていた。
Aはぱあぁっと笑顔になり鼻歌を歌いながら再び“お城”を作り出す
さっきまで泣いてたのが嘘みたいだ。
『お名前、なんていうの?』
「…つきしま、けい」
『じゃあけーちゃんだねっ』
ちゃん付けは初めてだった。
Aは転んだとき頬についたであろう砂を手でゴシゴシと擦り よろしくね と僕に微笑んできた。
これが僕たちの出会い。
21人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:肉じゃが | 作成日時:2018年8月19日 12時