優駿 (ページ2)

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開戦ページ2

ガキの頃よく読んでた漫画に、こんなセリフがあった。

「あ、アンタを心配してるワケじゃないんだからっ！勘違いしないでよね！？」

長い髪の毛をツインテールに結わえて、ツリ目のヤツが顔を真っ赤にして怒鳴っている…

父ちゃんはよくそのページを穴が空くほど見ていた。俺には今でも魅力がわかんねえ。けど、手の届く距離に全く同じような容姿のヤツがいる。

「今日は雨でどうなるかと思ったけど…上手くまとまって良かったわ♪」

4月、というか春らしく天気がコロコロ変わるような季節に、俺達は出会った。

…なーんて、かっこよさげにナレーション的なのしてみたが、これはあんまカッコよくねぇな。やめやめ！

「俺こんなに早く起きたことあんまねーぞ…お前だけ起きていきゃあ良かったのによー」

「あら？ごめんなさい！でもアタシ、勝負するなら相手と自分に課せられる条件を同じにしたいなー、と思いまして！なので、貴方も早く準備してくれるかしら？」

「へぇ、俺と勝負ねぇ…」

「なにか不満？」

「いや？レースでもねえのに黒星をつけるのは可哀想だと思ってよ」

「ふ、ふーん？もう勝った気でいらっしゃるのね…？そのカオ、いつまで保てるのかしらね？言っておくけど、わざわざアタシは待ってあげてるのよ？もう何分も前からとっくに準備は終わってるの！！これ以上遅れられないわ！」

すごい剣幕に圧倒されて、素直に支度はじめちまったぜ…

「母ちゃんかよお前…」

「だ、誰がアンタなんかのママなのよ！アタシのママは___」

そこまで言うと黙ってしまった。やれやれ。コイツも所詮、親離れができないガキか…
まあ、俺も寂しいっちゃ寂しいけど。

「っし、待たせたな！この俺がお前に始めて泥をつけるウマ娘だぜ！！」

「受けて立とうじゃないの。その見栄っ張り、二度と言えなくしてやるわ！」

第一回俺VSスカーレットS(アイツを負かしてやるステークス)
一枠一番：ダイワスカーレット
一枠二番：ウオッカ

二人、ドアの前で走る構えをする。
刹那の静寂を迎え___

ガチャンッ