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．
「……神ちゃん」
「…ごめん、もーちょい」
．
心臓の音が大きいのは、自分でもはっきりわかる。
神ちゃんがこんなに弱さを見せたのが初めてで、このまま動けなかった。
*
「ん！終わり！ごめんな、ありがとう」
なんのごめんな、なのかなんのありがとう、なのかわからなかったけどそのまま受け取った。
神ちゃんの温もりを感じている時間は自然と落ち着いていられた。
でも、一つ気になることがある。
「神ちゃん、さっき付き合ってるって、」
「あぁ…冗談やで」
「なんだ、冗談か」
その時神ちゃんが怪訝そうな顔をしたことに私は気づかない。
そして、その神ちゃんの温もりの有り難みにも、まだ気づかないんだ。
．
「…あっ、お祭りどうする？」
「私は神ちゃんに任せるよ」
「んじゃいこ、ちゃんと捕まっといてな」
ゴツゴツした手でぎゅっ、と握られる。
また胸が熱くなる。
．
「…なぁ」
「ん？」
「さっきの返事、聞かしてくれへん？」
「あっ…」
そうだよ。神ちゃん、私に好きって言ってくれた。
でも、どうしたらいいかわからない。
″人を好きになったことがない″
そんなこと…言えない。
．
「ごめん、今はまだ…」
「そっか、まぁゆっくりでええよ」
人を好きになったことがないのは事実。
じゃあ…このドキドキした感情は何なんだろう。
「でも…
ココが、ドキドキする」
そう言うと、神ちゃんは満面の笑みでフハッと笑った。
「…え、何がおかしいの？」
「めっちゃかわええ…もうほんまに好き」
．
そう言うと、一瞬にして唇を奪われる。
「ごめん…つい」
顔を真っ赤にして照れる神ちゃん。
そして、真っ赤になって照れる私。
びっくりした…。
不思議な気持ち。
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作者名：さな | 作成日時：2017年9月24日 18時
