かくしごと ③ ーKEIー (ページ11)

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ｓｅｃｒｅｔ１０９ページ11

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泳ぐと疲れるからって理由で、

砂浜を練り歩くことにした

「綺麗～」

急にしみじみとした感じで呟くから
疑問に思って顔を覗く

『なにが綺麗なの？』

「全部。全部が綺麗！

海みたいな大自然を見ると、自分がちっぽけな存在に思えて嫌なことも全部忘れられる」

そろそろ16時ということもあり、
太陽がどんどん西へ傾き、真昼とは違うオレンジ色の光を放っている

波も穏やかになり、波が出す音も心を落ち着かせる

「慧さん、本読みたい！」

『本！？』

「こういう景色が良いところで読書してみたかったの

　なんか浸れそうな気がしない？」

『浸れそうって本に？』

「読書がはかどりそうじゃない？私、本持ってきたの」

そういえば、Aの鞄無駄に重かった気が…

海にまで本を持ってくるとは、さすが司書さんだ……

「はい、これ慧さんの本」

渡された本を貰い、レジャーシートに寝転ぶ

夕方になって強い日差しが収まり、温かい空気に包まれている

確かに読書日和だなぁ…

ちらっとAを見ると、

もうすでに集中モードに入っていた

真剣に本を読んでる横顔が夕日にあたってかっこよくなってる

頷いたり、微笑んだり、

本を読みながら静かにリアクションするところが可愛くてずっと観察していると、

　さすがに視線が気になったのか

何も言わずに背中を向けられてしまった

静かでとても心地が良い時間

Aには存分に読書を楽しんでもらおうと、目線を本に戻した

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気づいたら本の文字が霞むぐらいの暗さになっていた

『文字見えないし、そろそろ帰ろうか』

「うん、楽しかった…」

立ち上がると、慣れない体制でずっと本を読んでいたからか

足元がおぼつかない状態で危うげに俺の胸に飛び込んできたA

バランスを崩したからだといっても、

肌と肌が密着している状態

Aの腕が背中に回って、さらに密着する

感触がいつもより直に伝わって、体が硬直してしまう

「幸せ…」

『幸せ！？』

「慧さんのおかげでやりたかったこともできたし、

読書に付き合ってくれる人なんてなかなかいないからさ、本当に幸せ」

海を眺めながら

乱れた髪を耳にかける姿は最高に美しかった