悪者ヒーロー。 (ページ1)

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お初にお目にかかります。ページ1

昼休み、財布を取りに帰った教室で、女子が話しているのを聞いた。

”何だってする、ヒーロー”…。

これが本当なら、アイツの事…救えるかもしれねぇ。

「旧校舎の屋上にいるらしいよ？」

「行ってみたいけど、あそこボロくていつ崩れるか分かんないもんねー」

旧校舎の屋上。

俺は財布と昼飯を諦め、屋上へ向かった。

建付けの悪い重たい鉄の扉を開け、屋上へ出る。

そこには、フェンスに立っている女子の姿。

少し着崩しているが、青城の制服を着ている。

「…お前が、”悪者ヒーロー”か？」

「えぇ。お初にお目にかかります、私が悪者ヒーローです」

彼女は前髪をふわりと浮かせて、俺の目の前に着地した。

「花巻貴大、何か…お困りのようですね？」

「っ…、何で名前を」

「細かいことは良いじゃないですか。さ、お聞かせください。
悪者ヒーローに、出来ない事なんて無いですから」

俺は、彼女の目をじっと見つめ、

話を始めた。