ドロドロ メローネ大好き少女さんリク メローネ ページ36
職場の人間関係が悪い。
私もそれに巻き込まれた。
別に暴力を振るわれたわけではない。
ただ、「お前は誰の肩を持ってるんだ、中途半端な奴め」といったかんじで、物を隠されたり不自然に仲間はずれにされる。
わずらわしい。
夢を追いかけてやっと就いた仕事の仲間がこんなにも愚かだったなんて。
そんなある日のこと。
男性が落とした財布を拾った。追いかけて手渡すととても感謝してくれた。
アシンメトリーの髪型が特徴的な美青年だった。
彼は恩返しをしたいと言って聞かず、最終的にはカプチーノをご馳走になった。
『ねぇ、健康状態が良好に見えないんだけど、もしかして何か悩んでいるのかい?』
彼はエスパーか何かだろうか。
その甘い顔に気が緩み職場でのことを相談した。
彼はとても親身になってくれたし共感してくれた。
もうあんな職場に行きたくない、なんて散々愚痴垂れたのになんて優しい人なんだろう。
去り際、慌てて名前を尋ねたら『メローネ』とだけ答えて彼は去っていった。
メローネ…本名ではないだろうけど、まぁ覚えておこう。
次の日。
憂鬱な気持ちで職場に向かう途中、私に嫌がらせをしてきた上司に会った。
また何か言われるかと思いきや、「今まで悪かった」と紅茶をご馳走してくれた。
たまには良いこともあるもんだなぁ。
紅茶の入った紙のタンブラーを片手に浮き足立って職場へ向かった。
そしたら、職場は燃えていた。
燃え盛る看板、ドロドロになって崩れゆく壁。
消防車が何台も停まり、全力で消火活動をする消防士たち。
瞬きもできないまま紅茶を取り落とす。
爪先に紅茶がかかる感覚もわからないまま、唖然としていた。
「チャオ、A」
「……メローネ?」
後ろから陽気に手を振ってきたのはメローネだった。
まるで、火事が目に入っていないかのように。
「…メローネ、職場が、」
「あぁ、うん。俺が今朝燃やした」
「燃やし、た?」
「だって、仕事場に行きたくないんだろ?だからさ」
何を言っているのかわからない。
「大丈夫。誰にもバレないよ。じゃあ、こんな所にいたってしょうがないしそろそろ行こうか」
ニッコリ笑ったメローネは、私の肩を抱いて炎に背を向けた。
どこにもいけない心で、どこへ連れていかれるのか。
隣の甘い微笑みがドロドロに滲む。
あぁ、メロンの中心部ってこんなかんじだったかな。
この脳で今わかるのは、私の行く先は行き止まりでしかないということだけ。
甘ったるいほど supedoinさんリク スティーリー・ダン 激甘→←優しい眠りへと 美琴さんリク ブラックモア
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ウィルゴ・パルテノス - リクでダービー兄弟と一緒に日本の駄菓子を食べてみたをお願いします (2022年8月16日 7時) (レス) id: b628f3ea92 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 15さん» コメントありがとうございます。浮上もできない半端な者ですがもう少しだけ頑張るつもりです。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - みかんじゅうすさん» 更新はするつもりです。ですが、度重なる体調不良と将来の進路に関する活動を含む学生生活が忙しくてなかなか趣味としてPCに向かえない日々が続いております。決して投げ出したわけではございません。誠に申し訳ございません。もうしばしお待ちください。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅうす - もう更新されないんですか? (2020年9月16日 23時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
15 - 神よ! (2020年8月15日 22時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒヨコダイル | 作成日時:2018年9月17日 21時