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煙草 ディアボロ ページ31

それは私が、夜のバーのテラスで甘ったるいお酒を飲んでいたとき。

隣にはディアボロがいて、彼も同じようにグラスを傾けていた。


ふいにジッ、ジッと音がしたので横を見るとディアボロが煙草に火をつけていた。

ギャングのボスが使うとは到底思えないような、安っぽいライターだった。


「煙草なんて吸うのね」

「あぁ。ドッピオが嫌がるからあまり頻繁には吸わんが…やはりやめられない」


ドッピオ…たしか、この人と常に一緒にいる少年と言っていたか。


煙草を咥える横顔はいつもよりかっこよく見える。

フゥ、と吐き出された煙を巻きつけたピンクの髪は夜の闇に溶けず美しいまま。

自分が煙草を吸うディアボロに見惚れていることに気付いて急に恥ずかしくなった。

少し甘いそのにおいに惹きつけられて一歩彼の傍に寄った。


「……最近、この歳になって気になる女を見つけたんだ」


一瞬、周りから音が消えた。

それから心臓の音だけがおかしい程大きく聞こえて、それを隠しながら返事をする。


「あら、そうなの」

「気立ての良いバーテンダーでな、話してるとよく表情が変わって面白い」

「へぇ……」

「それでな、向こうから俺の顔を見つめてくるくせに目が合えば顔をそらすんだ」

「そうなの」


少し嬉しそうに話すディアボロは、ずっと遠くを見ている。

私はその横顔だけをチラリと見ながら曖昧な返事をすることしかできなかった。

バーテンダーの女性の話をしている間、ディアボロはゆっくり煙草を吹かしていた。

それでもその横顔はニコニコと少年のように楽しそうで。

少し長いのろけ話が終わる頃。


「彼女と一緒にいる時は、煙草のことも忘れられる」


そう言いながら、ディアボロは二本目の煙草に火をつけた。


私はそっと、一歩寄せた足を戻す。

空へ昇っていく煙は風に吹かれ、薄く消えていった。

甘ったるい宝石 桜紅さんリク メローネの甘→←微笑 ですしお寿司さんリク ディアボロの甘々



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ウィルゴ・パルテノス - リクでダービー兄弟と一緒に日本の駄菓子を食べてみたをお願いします (2022年8月16日 7時) (レス) id: b628f3ea92 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - 15さん» コメントありがとうございます。浮上もできない半端な者ですがもう少しだけ頑張るつもりです。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコダイル - みかんじゅうすさん» 更新はするつもりです。ですが、度重なる体調不良と将来の進路に関する活動を含む学生生活が忙しくてなかなか趣味としてPCに向かえない日々が続いております。決して投げ出したわけではございません。誠に申し訳ございません。もうしばしお待ちください。 (2020年9月18日 16時) (レス) id: eaa08fab16 (このIDを非表示/違反報告)
みかんじゅうす - もう更新されないんですか? (2020年9月16日 23時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)
15 - 神よ! (2020年8月15日 22時) (レス) id: 33585c80db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヒヨコダイル | 作成日時:2018年9月17日 21時

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