【ジョジョの奇妙な冒険】アク役◇短編集

call me maybe　歌詞無さんリク　ドッピオ ページ16

「あの、これ！」


ある日、不思議な男の子から紙切れをもらった。


「いきなり変ですよね…でも、これ、僕の番号です！電話待ってます！」

「う、うん……ありがと？」


紙切れに書かれた番号。

すぐ走り去ってしまった君。

唐突でよくわからなかったけど、今でもあのそばかすの浮いた赤い頬はよく覚えている。

今日やっと電話をかけてみた。


「プロント？」


電話の向こうから聞こえる少年の声。


「私だよ。この間電話番号渡してくれたでしょ？」

「あっ、やっと電話してくれた！嬉しいです！」

「遅くなってごめんね」


はしゃぐ声に耳をくすぐられ、私は笑ってしまう。


「えっと、私さ、君のこと何も知らないんだ…お名前は？」

「ドッピオです。えっと……」

「Aって呼んで」

「はい、Aさん」


お互い名前も知らない状態から始まった電話。

なんでも、彼…ドッピオくんは私に“一目惚れ”というやつをしたらしい。

それからどうにかしてでも近づこうとして、あの行動に至ったらしい。


「どうしても、Aさんに近づきたくて、そのためにはどんな手も使うって」

「はは、随分野心的な言い回しだね」

「でも面と向かってじゃあ言えないから…あなたから電話が欲しかったんです」

「そっか……ありがとうドッピオくん。誰かにこんなに好きになってもらえるの初めてだよ」

「僕、寂しかったんです。本当に、あなたが恋しかった」


今まで年下など眼中になかったけど、ドッピオくんの言葉に私の心は溶かされていく。

それから色々な話をした。

趣味の話、最近できたジェラート屋の話、新聞に載っていたニュース。

歳のわりに世の中に精通している彼とはなかなか楽しい会話ができた。

気がついたら受話器を取って一時間は過ぎていた。


「ごめんね私、そろそろ用事があるんだ」

「そうなんですか？ごめんなさい長々と…」

「ううん、とても楽しかった。ねぇ、また明日も電話していい？」

「勿論です！待ってますね」

「うん。ありがとうドッピオくん。バイバイ」

「はい！また明日、Aさん」


受話器を置いて、息をつく。

たどたどしく、ストレートな少年の言葉。

でも何故だろう。

この少年の声の中に、ほんのたまに色気のある大人の男の声が混じって聞こえる。

私がこの電話越しに話しているのはドッピオくん一人の筈なのに。

不思議な感覚に、電話の前に立ち尽くしたまま首を傾げた。


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題名はCarly Rae Jepsenの楽曲から。

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