歪んだ十字架４ (ページ18)

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蓮side

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康二「俺もそうやったけど、今思うとな、誰か悪者を作ることで、心のバランスを保ってたんやと思う。」

蓮「・・・・・・。」

康二「ラウを悪者にしたら、それ以上自分が傷つかなくて済む。そうやって自分を守ってたんよ。最低やけど。」

蓮「でも・・・。ラウが壊れちゃったよ。」

康二「もちろんラウを傷つけるのはだめなことやった。いつの間にか家族みんなが間違えた方向に行ってしまったんよな。」

蓮みたいに、やめてって言えなかった俺もお兄ちゃん失格やな。

って自嘲気味に笑ってた。

　

俺らは当時、寂しい、悲しいって言ったら、上の兄ちゃんたちが抱きしめてくれた。

　

「大丈夫だよ。」

「お兄ちゃんが付いてるから。」

「泣かないで。」

　

たくさんの言葉をかけてもらっていた。

でもラウールは・・・。

ずっと俺以外の兄弟から疎外されて、ひとりぼっちだった。

俺も声はかけてたけど、それでもラウールの悲しみに寄り添うには足りなかったと思う。

母さんの目も兄貴たちの目もあったし。

　
　

康二くんも当時の自分にかなり反省しているみたい。

　

康二「これからはラウとたくさん楽しいことしような。」

蓮「ラウさ、このまま記憶が戻らない方が幸せなのかもね。」

康二「そやね・・・。」

　
　

何とも複雑な心境だったけど、

ラウールが、

俺ら家族が

少しでも良くなりますようにって願った夜だった。

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