歪んだ十字架３ (ページ10)

今日:26 hit、昨日:76 hit、合計:260,950 hit

―１０４― ページ10

辰哉side

・

汗でぐしょぐしょになった、前髪。

貼りついた髪を優しくかき上げる。

　

　

いつの間にか、ラウールの親指が口に入っていた。

指しゃぶりなんて・・・。

　

外から様子を見守る亮平。

ラウールが寝たところを見て、

静かに中に入ってくる。

　

亮平「どう？」

辰哉「うん。落ち着いて、寝ちゃった。」

　

　

かわいい寝顔。

　

そのまますうすうと寝息を立てていた。

　

こんな甘えてきたことなんて・・・。

　

　

　

医師「お薬で落ち着かせることもあるんですけど。やっぱり効き目が一番なのは愛情なんですよ。」

辰哉「・・・・・・。」

　

その言葉にドキッとする。

　

医師「ご家族を見ていて、ラウールさんからの言動含め、どこか普通ではない何かをずっと感じていました。」

辰哉「はい・・・。そうですよね。」

亮平「・・・・・・。」

医師「ちょっとお話ししましょうか？」

亮平と目を見合わせる。

　

お医者さんは、全てお見通しだったのかもね。

・