歪んだ十字架３ (ページ38)

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辰哉side

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ラウールの調子は徐々に戻ってきて、

胃もだいぶ良くなったし、不安から来る症状も少しずつ治まってきた。

お医者さんからは、もうすぐ退院できるようなことも話してもらった。

　

　

でも、相変わらず、記憶はあやふやなまま。

この前涼太がちょっと思い出したかもって言ってたけど、

結局、寝て起きたらまた記憶になかった。

　

ラウ「辰にいあのね・・・。」

　

なんてかわいく話してくるから。

俺はもうメロメロです。

　

小さい時のラウールに戻ったみたい。

　

　

でも・・・

ラウールはあの事故のことを今は忘れてる。

このまま忘れたままでいいのかもしれないけど、

いずれ父さんが亡くなったことや母さんのことを知ることになる。

いつまでもごまかしきれない。

　

　

もうすぐ退院だけれども、

記憶がないラウールに対して照や翔太がどういう反応をするか。

正直そこも不安だった。

　

嘘で塗り固めるのは、だめだよね。

記憶がないからって、俺らがやってきたこともきちんと話さなきゃ。

今まで傷つけてしまった分、今度は道を誤らないように。

辰哉「ラウ、大事なお話があるんだ。」

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