歪んだ十字架３ (ページ36)

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涼太side

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ラウールが食べやすいように、小さく切ったバナナケーキ。

　

もぐもぐとほおばる姿に、

なんだかこみ上げるものがあった。

　

　

昔もよく一緒に食べたっけ。

兄弟みんないくつ食べたかで競い合って。

最後の１つになるとラウールの「ちょーだい！」って言う顔にやられて、

結局みんな、食いしん坊のラウールに譲ってあげて。

ラウールが食べてる姿を見るとみんな嬉しくなってたね。

　

　

ラウ「なつかしいあじがする・・・。」

涼太「そぅっ・・・っ。」

　

　

　
　

その無垢な顔にずっと会いたかったんだ。

俺らが、その感情を出してあげられなかったね。

ふと、やっぱりこのまま記憶があやふやなまま戻らない方がいいのかもしれない。

なんて思ってしまう。

ラウ「おいしいよ。にぃに。」

そう言うラウールを両手いっぱいに抱きしめた。

　

ラウ「どうしたの？」

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