歪んだ十字架３ (ページ30)

今日:50 hit、昨日:76 hit、合計:260,974 hit

―１２４― ページ30

辰哉side

・

　

大野「これが今のラウールさんの状態です。」

辰哉「今のラウール・・・？」

　

コップからは水が溢れ、

机はびしょびしょ。

　

大野「心のコップにストレスが入りきらなくなってる状態です。自分の受け止められる許容範囲を超えています。そのため色んな反応が出たりしていますよね。」

　

　

　

記憶がなかったり、

幼くなったり、

泣きわめいたり。

　
　

そういった反応のことを言うみたい。

ラウール自身でもストレスが受け止めきれないくらいになってしまっているそう。

　

　

長年の俺ら兄弟の態度が、

そこまでラウールを追いつめてしまっていたとは・・・

我ながら本当に反省するしかないね。

　

　

大野「受け止めきれない水をまずは出してあげましょう。コップの注がれる量を減らすことが優先です。」

辰哉「はい。」

大野「それからです。原因を探りましょう。妙だと感じる行動があったんですよね？」

　

　

確かにあった。

いきなり万引きをし始めたり。

兄弟のお金を盗んだり。

食事を作るのをさぼったり。

ぼーっとし始めたり。

大野「なにか思い出したくない大きな変化があったのかもしれません。ただ、無理にそのことを思い出させるのはお勧めしませんね。」

とりあえず、今はラウールのことをめいっぱい愛してあげて、

ありのままのラウールを受け止めてあげようということになった。

・