歪んだ十字架３ (ページ22)

今日:12 hit、昨日:76 hit、合計:260,936 hit

―１１６― ページ22

蓮side

　

・

仕事が忙しくて、なかなか病院に顔を出すことができなかった。

　

久しぶりに見たラウールは、

あの大人しくて、聞き分けのあるラウールじゃなくて、

本当に幼い、小さいころのラウールに戻ってしまった感じだった。

　

　

ラウ「うぅっ、ひっく、にぃ～。」

　
　

　

　
そう言って辰にいの胸でわんわん泣く姿にびっくり。

辰にいもラウールの状態にまったく動じることなく、優しく抱きしめていた。

　

　

　

辰哉「今まで溜まってたものさ、出してあげなきゃ。」

　

蓮「溜まっていたもの・・・。」

辰哉「こんだけ泣くんだもん。この４年間で俺らに言いたかったことたくさんあるはずだよ。」

　

そうだよね。

ずっとずっと自分を殺して、

俺らの顔色を伺って、生きてきたんだよね。

吐き出せなかった感情を出すことで、

ラウールの気持ちが穏やかになるといいな。

　

　

　

辰哉「いつも通り。ラウはラウだよ。」

蓮「うん。そうだね。」

　

　

ふと、ラウールとパチッと目が合う。

水分をたくさん含んだ長いまつ毛。

　

　

　

ラウ「れんっ・・くん？」

蓮「ラウ、蓮くん来たよ。久しぶり。」

　

ちょっとだけラウールが笑った気がしたんだ。

・